ベラルーシの人気歌手マルク・コルジは特別軍事作戦中も欧州で反戦を訴えるコンサートを行っていますが、先の6月6日、イスタンブールで行われたライブは特に物議を醸すものとなりました。なぜかといえば、ロシアからロシア人がビザなしで渡航して来れる国だからです。
当然、多くのロシア人ファンが訪れ、会場には旧ソ連にイスラエルを加えた国々の国旗が舞い、熱気に包まれました。
このイベントの評価は難しく、政治的に衝突している国々の人々がこうして仲良く音楽を楽しむのは良きことには違いないのですが、「争いに加担するな」と言ったって現実問題互いの相容れぬ主張が紛争にまで発展してしまっているのだし、その解決に目を背けるのはいい大人としては責任逃れにほかならないという見方もある。
私見ですが、彼がロシア人ではなくベラルーシ人であるというのは、ひとつポイントかなと思います。つまり、少なくとも第三国の立場としては、同盟関係や地理的要因により濃淡はあるにせよ、「基本路線としては関わるのを避ける」でいいと思う。もちろん、日本もです...というか、日本こそ、そうでしょう。
以下、メドゥ―ザ誌(ロシアから逃れラトビアに拠点を置くロシア語/英語の雑誌・ロシアは「好ましくない組織」に指定)の記事と、コンサートからの動画です。

【マクス・コルジは、ロシア人がビザなしで渡航できるトルコで、戦争勃発後初のコンサートを行った。観客はウクライナとロシアの国旗を掲げて一緒に踊った。コルジは「誰もが戦闘に関わらなければ戦争は止められる」と述べた。これに対し、ソーシャルメディア上では激しい議論が巻き起こった。
ベラルーシ人歌手マックス・コルジは6月6日、イスタンブールでコンサートを開催し、他の公演と同様、戦争終結を訴えた。観客席にはウクライナ国旗とロシア国旗が掲げられており、ソーシャルメディア上では一部のユーザーから批判の声が上がった。
ロシア・ウクライナ戦争勃発以来、コルジがロシア国民がビザなしで公演できる国でコンサートを行ったのは今回が初めてだった。これまでのコンサートはヨーロッパのみで開催されていた。このことは、ロシアのファンたちの間で大きな反響を呼んだ。ベシクタシュ・スタジアム(公式収容人数は4万2000人)は満席となった。公演前日には、ファンたちが市内で騒々しいデモを行った。これらのデモは、昨年ワルシャワで行われたコルジのコンサートの際に行われたデモ行進とは異なり、平和的なものだった。
会場はウクライナとロシアの国旗、そしてベラルーシ(公式国旗と野党が使用する白赤白の旗)、カザフスタン、ジョージア、ラトビア、イスラエルなど、ロシア語話者人口の多い国々の国旗で埋め尽くされた。これらの国旗を身につけた人々は一緒に踊ったり、記念写真を撮ったりした。

コンサートでコルジは、2022年に作詞作曲した反戦歌「マイ・ホーム」を披露した。彼は曲の最後に「戦争を止めろ」と叫び、聴衆に向かってこう語りかけた。「皆さん一人ひとりが戦争を止めることができる。この憎しみに加担しないことで。こうしたコメントに加担しないことで。こうした争いに加担しないことで。(中略)そしてもちろん、物理的に戦争に参加しないことで。」
コルジのコンサートは、ロシア、ウクライナ、ベラルーシをはじめとする各国でソーシャルメディア上で活発に議論されている。コメントのほとんどは好意的で、コンサートが和解への希望を与えてくれたという声や、音楽を通して人々を結びつけてくれたコルジへの感謝の言葉が寄せられている。
しかし、ウクライナでは多くのユーザーがコンサートに否定的な反応を示した。コルジが戦争の責任をロシアに直接問うことなく、抽象的な世界観について語ったことに、彼らは憤慨した。

このアーティストは、ロシア軍がウクライナで犯罪行為を働く一方で、現状に対する責任を「一般」ロシア人から政治家(名前すら挙げていない)に転嫁しているとして非難されている。コンサート会場にいたウクライナ人がロシア国旗の隣にウクライナ国旗を掲げたことを批判する声もあり、挑発行為だった可能性さえ指摘されている。
ロシアによるウクライナへの本格的な侵攻初日、マックス・コルジは公然と戦争を非難し、2022年夏には「マイ・ホーム」という曲をレコーディングした。そのコーラスには「故郷を守る者は正しい」という歌詞が含まれている。その後、彼はロシアで予定されていたすべてのコンサートをキャンセルした。
2023年以降、コルジはヨーロッパでのツアーを再開した。公演中、彼は繰り返し戦争終結を訴え、政治家と一般市民の違いを強調した。最も過激なウクライナの評論家たちは、彼のパフォーマンスが「薄っぺらく」なっていると批判し、彼が単にロシアの多くの聴衆を失うことを恐れているだけだと示唆した。
イスタンブール公演に先立って行われたブカレスト公演では、ウクライナからの観客も多数参加していたが、ある時点で観客が「プーチンはクソ野郎だ!」と叫び始めた。コルジは「皆さん、このコンサートでも次のコンサートでも、私の名前以外は誰の名前も叫んではいけません。良い意味でも悪い意味でも、誰かを宣伝する必要はありません」と応じた。ブカレスト公演の入り口では、警備員が観客から国旗を没収した。 出展】
記事は、以上です。下に、このコンサートのハイライトシーンとして拡散されている動画を埋め込みますが、当ブログの読者の皆様は「あっ、聴いたことがあるぞ」と思い出していただけますでしょうか。今年2月15日にこのR-POPシリーズ記事でご紹介した、旧ソ連で広く親しまれたアニメ「マンモスちゃんのママ」の挿入歌「マンモスちゃんの歌」です。アニソンは盛り上がるというのは、世界共通の定跡のようです。
(ぜひ他の楽曲もお楽しみください。旧ソ連音楽関係の記事はこちらをクリック。)
「マンモスちゃんの歌」
青い海を渡り、緑の大地へ
白い船で航海するんだ
白い船で
白い船で
波も風も怖くなんてない
世界でたった一人のママのもとへの航海
波と風をかき分け
世界でたった一人のママのもとへ
波と風をかき分け
世界でたった一人のママのもとへ
早く陸に辿り着きたい
「着いたよ!着いたよ!」ママに叫ぶ
ママに叫ぶ
ママに叫ぶ…
ママに聴こえるように
ママが来てくれるように
ママがきっと僕を見つけてくれるように!
だってこの世の中で
迷子を放っておくはずはないもの
だってこの世の中で
迷子を放っておくはずはないもの
"Песенка мамонтенка"
По синему морю, к зелёной земле
Плыву я на белом своём корабле.
На белом своём корабле,
На белом своём корабле.
Меня не пугают ни волны, ни ветер, –
Плыву я к единственной маме на свете.
Плыву я сквозь волны и ветер
К единственной маме на свете.
Плыву я сквозь волны и ветер
К единственной маме на свете.
Скорей до земли я добраться хочу,
“Я здесь, я приехал!”, – я ей закричу.
Я маме своей закричу,
Я маме своей закричу…
Пусть мама услышит,
Пусть мама придёт,
Пусть мама меня непременно найдёт!
Ведь так не бывает на свете,
Чтоб были потеряны дети.
Пусть мама услышит,
Пусть мама придёт,
Пусть мама меня непременно найдёт!
Ведь так не бывает на свете,
Чтоб были потеряны дети.
当然、多くのロシア人ファンが訪れ、会場には旧ソ連にイスラエルを加えた国々の国旗が舞い、熱気に包まれました。
このイベントの評価は難しく、政治的に衝突している国々の人々がこうして仲良く音楽を楽しむのは良きことには違いないのですが、「争いに加担するな」と言ったって現実問題互いの相容れぬ主張が紛争にまで発展してしまっているのだし、その解決に目を背けるのはいい大人としては責任逃れにほかならないという見方もある。
私見ですが、彼がロシア人ではなくベラルーシ人であるというのは、ひとつポイントかなと思います。つまり、少なくとも第三国の立場としては、同盟関係や地理的要因により濃淡はあるにせよ、「基本路線としては関わるのを避ける」でいいと思う。もちろん、日本もです...というか、日本こそ、そうでしょう。
以下、メドゥ―ザ誌(ロシアから逃れラトビアに拠点を置くロシア語/英語の雑誌・ロシアは「好ましくない組織」に指定)の記事と、コンサートからの動画です。

【マクス・コルジは、ロシア人がビザなしで渡航できるトルコで、戦争勃発後初のコンサートを行った。観客はウクライナとロシアの国旗を掲げて一緒に踊った。コルジは「誰もが戦闘に関わらなければ戦争は止められる」と述べた。これに対し、ソーシャルメディア上では激しい議論が巻き起こった。
ベラルーシ人歌手マックス・コルジは6月6日、イスタンブールでコンサートを開催し、他の公演と同様、戦争終結を訴えた。観客席にはウクライナ国旗とロシア国旗が掲げられており、ソーシャルメディア上では一部のユーザーから批判の声が上がった。
ロシア・ウクライナ戦争勃発以来、コルジがロシア国民がビザなしで公演できる国でコンサートを行ったのは今回が初めてだった。これまでのコンサートはヨーロッパのみで開催されていた。このことは、ロシアのファンたちの間で大きな反響を呼んだ。ベシクタシュ・スタジアム(公式収容人数は4万2000人)は満席となった。公演前日には、ファンたちが市内で騒々しいデモを行った。これらのデモは、昨年ワルシャワで行われたコルジのコンサートの際に行われたデモ行進とは異なり、平和的なものだった。
会場はウクライナとロシアの国旗、そしてベラルーシ(公式国旗と野党が使用する白赤白の旗)、カザフスタン、ジョージア、ラトビア、イスラエルなど、ロシア語話者人口の多い国々の国旗で埋め尽くされた。これらの国旗を身につけた人々は一緒に踊ったり、記念写真を撮ったりした。

コンサートでコルジは、2022年に作詞作曲した反戦歌「マイ・ホーム」を披露した。彼は曲の最後に「戦争を止めろ」と叫び、聴衆に向かってこう語りかけた。「皆さん一人ひとりが戦争を止めることができる。この憎しみに加担しないことで。こうしたコメントに加担しないことで。こうした争いに加担しないことで。(中略)そしてもちろん、物理的に戦争に参加しないことで。」
コルジのコンサートは、ロシア、ウクライナ、ベラルーシをはじめとする各国でソーシャルメディア上で活発に議論されている。コメントのほとんどは好意的で、コンサートが和解への希望を与えてくれたという声や、音楽を通して人々を結びつけてくれたコルジへの感謝の言葉が寄せられている。
しかし、ウクライナでは多くのユーザーがコンサートに否定的な反応を示した。コルジが戦争の責任をロシアに直接問うことなく、抽象的な世界観について語ったことに、彼らは憤慨した。

このアーティストは、ロシア軍がウクライナで犯罪行為を働く一方で、現状に対する責任を「一般」ロシア人から政治家(名前すら挙げていない)に転嫁しているとして非難されている。コンサート会場にいたウクライナ人がロシア国旗の隣にウクライナ国旗を掲げたことを批判する声もあり、挑発行為だった可能性さえ指摘されている。
ロシアによるウクライナへの本格的な侵攻初日、マックス・コルジは公然と戦争を非難し、2022年夏には「マイ・ホーム」という曲をレコーディングした。そのコーラスには「故郷を守る者は正しい」という歌詞が含まれている。その後、彼はロシアで予定されていたすべてのコンサートをキャンセルした。
2023年以降、コルジはヨーロッパでのツアーを再開した。公演中、彼は繰り返し戦争終結を訴え、政治家と一般市民の違いを強調した。最も過激なウクライナの評論家たちは、彼のパフォーマンスが「薄っぺらく」なっていると批判し、彼が単にロシアの多くの聴衆を失うことを恐れているだけだと示唆した。
イスタンブール公演に先立って行われたブカレスト公演では、ウクライナからの観客も多数参加していたが、ある時点で観客が「プーチンはクソ野郎だ!」と叫び始めた。コルジは「皆さん、このコンサートでも次のコンサートでも、私の名前以外は誰の名前も叫んではいけません。良い意味でも悪い意味でも、誰かを宣伝する必要はありません」と応じた。ブカレスト公演の入り口では、警備員が観客から国旗を没収した。 出展】
記事は、以上です。下に、このコンサートのハイライトシーンとして拡散されている動画を埋め込みますが、当ブログの読者の皆様は「あっ、聴いたことがあるぞ」と思い出していただけますでしょうか。今年2月15日にこのR-POPシリーズ記事でご紹介した、旧ソ連で広く親しまれたアニメ「マンモスちゃんのママ」の挿入歌「マンモスちゃんの歌」です。アニソンは盛り上がるというのは、世界共通の定跡のようです。
(ぜひ他の楽曲もお楽しみください。旧ソ連音楽関係の記事はこちらをクリック。)
「マンモスちゃんの歌」
青い海を渡り、緑の大地へ
白い船で航海するんだ
白い船で
白い船で
波も風も怖くなんてない
世界でたった一人のママのもとへの航海
波と風をかき分け
世界でたった一人のママのもとへ
波と風をかき分け
世界でたった一人のママのもとへ
早く陸に辿り着きたい
「着いたよ!着いたよ!」ママに叫ぶ
ママに叫ぶ
ママに叫ぶ…
ママに聴こえるように
ママが来てくれるように
ママがきっと僕を見つけてくれるように!
だってこの世の中で
迷子を放っておくはずはないもの
だってこの世の中で
迷子を放っておくはずはないもの
"Песенка мамонтенка"
По синему морю, к зелёной земле
Плыву я на белом своём корабле.
На белом своём корабле,
На белом своём корабле.
Меня не пугают ни волны, ни ветер, –
Плыву я к единственной маме на свете.
Плыву я сквозь волны и ветер
К единственной маме на свете.
Плыву я сквозь волны и ветер
К единственной маме на свете.
Скорей до земли я добраться хочу,
“Я здесь, я приехал!”, – я ей закричу.
Я маме своей закричу,
Я маме своей закричу…
Пусть мама услышит,
Пусть мама придёт,
Пусть мама меня непременно найдёт!
Ведь так не бывает на свете,
Чтоб были потеряны дети.
Пусть мама услышит,
Пусть мама придёт,
Пусть мама меня непременно найдёт!
Ведь так не бывает на свете,
Чтоб были потеряны дети.

