前々の記事前の記事に書かれていたのは、環境政策により従来型の機械産業をどこかへ転換しなければならなくなったドイツを中心とする欧州諸国が、兵器産業ををその受け皿にしているという現実でした。

従って「ロシアの脅威なんて嘘だ。世界は騙されてる!」といくら言っても、状況は変わらないのでしょう。彼らにとり、ロシアは悪であり脅威である必要がある。そうでないと生きて行けないから。

日本でも、この流れに乗る動きが出てきている。高市政権は武器輸出規則を緩和し、民間ではウクライナとのドローン協定が結ばれ... 個人的に、最近「うまいな」と思ったのは、東大の小泉悠氏らが立ち上げようとしている、AIを駆使して過去の経験則と現在の個々の軍事関連データから他国軍の動きを予測シミュレートするようなサービス。そのような情報が「売れる」時代になってきている。ロシアや中国の脅威を現実のものとして多くの人々が認識するようになったから。これから兵器製造や軍事情報提供を生活の糧にする人々が増えてゆく過程において、「ロシア/中国脅威論」が衰えることはないだろう。



個人的には、もはや止められないと思います。問題は、この状況の逆をゆくカウンターカルチャーとしての、政治や、思想や、芸術作品を、あまり見ないように一見感じる。本来は、それらの存在によりバランスがとれるのだが。

戦争からいったん離れますが、社会学者の東浩紀さんが最近しきりに警鐘を鳴らしていることの基本的な部分に共感しています。つまり、チームみらいや国民民主党が脚光を浴びている。彼らは成長する産業に投資する。その考え方で日本を引っ張ってゆくだろう。それでいい。彼ら自体はそれでいいが、逆の連中が出てこないとバランスがとれない。土着の、労働者階級の、「AI?知らんがな」とか言う連中。そいつらがチームみらいとやり合うことで、バランスがとれる。



「基本的部分に共感」と上で述べたのは、各論で異なる感覚もあるから。というのは、
「待てよ、政治勢力としては確かにないが、カウンターカルチャーとしての労働者階級の受け皿は、出てきているのかもしれない」
という気もする。そして、東氏はチームみらいの逆サイドであったはずのモデルをかつてのSEALDsに見ているが、そのスタイルは今の空気に合わないのではないか。つまり、エネルギッシュに世の中に思いをぶつけるスタイルはその階級の共感を呼ばない。また、「若さ」に期待しすぎと思う。彼らは賢く我々の失敗から学んでいる。

共感を呼んでいるのは具体的には、非正規労働者のカリスマ「絶望ライン工」さん。現在登録者67万人という超人気ユーチューバー。声を荒げることなく、地道な日々の暮らしを静かに淡々と綴るチャンネルです。すごいのは、彼はミュージシャンで、動画で使われている楽曲やBGMはすべて彼の作品。



決して新しくはありません。これは、現代版の四畳半フォーク。半世紀前、世の中に対して叫ぶではなく小さな部屋でひたすら自分の内面に籠ってゆく歌が、大きな反響を呼びました。貧富の差が大きく、底辺の階級に四畳半フォークが広く受け入れた世の中の空気が、今ふたたび戻ってきているのかもしれません。
ちなみに「孤独おじさん」さんも好きです。文才がある。声がイイし、朗読が上手。



半世紀前の不幸は、まさに東浩紀さんが言うように、これらが「インテリたちに食い物にされた」。全国でコンサートを主催していたのが労働組合系の団体だったりしたことから、アーティストたちは発表の場を求めて彼らと付き合わざるを得なかったので。今はいい時代だと思う。YouTubeで直接視聴者とつながることができる。

「政治とどうつながるんだ?」
と言われると、つながらないですね😂
つながらなくてイイと思う。自分もいま日銭稼ぎの日雇い労働者なので、ただただ、侘しい気持ちを分かち合えるYouTubeのジャンルを、そっとしておいてほしいと願うのみ。

ご参考まで、「労働者階級のための政党」をいま旗揚げされる方がおられるなら、ズバリ「絶望党」に期待したいです。「建設的なビジョンなんて、ないです。世の中、絶望しかないじゃないですか。せめて絶望的な気持ちを分かち合いましょう」みたいなコンセプトで。年収300万円以下クラスの階層に明らかにプラスになる法案以外はゼンブ反対しまくるだけみたいな。外交安全保障も、「わからん。ぜんぶ反対」でイイと思う。そんな政党が出てきたら、投票先の第一候補にします。