先日、1月21日にウクライナ発の動画がYouTubeほか様々な動画サイトにアップされ、世界中を震撼させています。

1月25日の記事でご紹介した「私たちには光がない」は、スベった軽い企画でしたが、これはそうではありません。大掛かりな制作/撮影チームによって構成された大作です。以下、YouTubeの動画説明欄より。

【このプロジェクトは戦時中のウクライナで撮影されました。合唱団の演奏は、空襲と砲撃の夜が続く静かな日に録音されました。これを書いている今、キエフは停電中です。

この街は私にとって常に大切な存在であり、このビデオが、この街で何が起こっているのかを人々に理解してもらうために、少しでもお役に立てれば幸いです。

この曲には、ウクライナの民謡「Ой, боровая зязюліна(おぉ、森のカッコウよ)」の精神が込められています。チェルニーヒウ地方の民俗学者とアンサンブル「ドレヴォ」の尽力により、この伝統歌「ヴェスニャンカ(веснянка・「春の歌」もしくは「そばかす」)」が録音・保存されました。村々を訪れ、耳を傾け、書き留め、記憶に留め、これらの伝統歌が消えてしまわないように守ってくださる方々に感謝申し上げます。】

ちなみに、動画のメインボーカルの女性がウクライナのアリーナ・パッシュ。欧州や米国でも精力的にコンサートを行っています。アパシェはカナダの男性ミュージシャン(冒頭に出て来て何かを語る兵士が彼っぽい)。この曲以前にも二人はコラボ曲を手掛けたことがあります。

かなり金がかかっているはずなので、その出所はキエフ政権だろうと思うところですが、「つらいけれど国民一丸となって頑張ろう」的な単純なプロパガンダではないのが興味深い。崖っぷちに追い込まれ逃げ場のない場面は、海外渡航が厳しく制限されている状況、つまり政権としてはあまり触れてほしくない部分を生々しく描いています。終盤、外の国では色んな人種の人々が楽し気に過ごしている。その中で、ウクライナ出身のパッシュが独り、茫然と祖国が破壊されるのを見ている。海外に逃げた人が得をした風刺も込められている。

もちろん、政権の意にも沿うよう、海外の目を引き支援を訴えるための描写ととれるように作ってはあるのでしょうが、それだけでもなさそうな気がしました。歌詞がまた意味深です。

(ぜひ他の楽曲もお楽しみください。旧ソ連音楽関係の記事はこちらをクリック。)



「キエフ」

ああ、森のカケスよ
ああ、樫の木立を朝早くノックしないで

ああ、樫の木立を朝早くノックしないで

幼すぎることをしないで

だって私も若くて従順なんだから
幼すぎることをしないで

だって私も若くて従順なんだから
私は義母の言うことに従っただけ


"Kyiv"

Ой боровая зязюліна
Ой нє куй рано на дубровє

Ой нє куй рано на дубровє

Нє буді мєнє молодої

Бо я й молода послушная
Нє буді мєнє молодої

Бо я й молода послушная
Свого свєкорка послухала