松井須磨子


11月24日(日)ライブにご参加いただきました皆様、アーカイブでご視聴いただいている皆様、どうもありがとうございます。

ライブで紹介した、松井須磨子さん本人による歌唱の「カチューシャの唄」音源がYouTubeにアップされていますので、下に埋め込みます。1914年に日本で芸術座という新しい劇団が上演したトルストイの「復活」の劇中歌です。この曲が、日本で初の「レコードのヒット曲」とされています。何と、J-POPの土台をつくったのはトルストイでした。

そして、松井須磨子さん演じるカチューシャがつけていた髪留め。それを人々は「カチューシャ」と呼ぶようになったのでした。



ライブでも話ししたことを、補足を加えて文章でも。

1915年に芸術座の「復活」はウラジオストクでロシアの劇団との共同公演も果たし、大好評を得ます。先の日露戦争から10年ちょっとしか経っていません。互いの文化を称賛しあう心を、戦争すらも奪うことはなかった。

そして、時を経て第二次大戦後、全国の歌声喫茶でロシア歌謡が歌われるようになります。社会主義活動家たちに利用された面もあるのですが、それとは関係なく多くの日本国民がロシアの歌を楽しむことが出来たムーブメントであったことも事実。これについてはまた改めて書きたいと思います。

ロシアを憎み恨み批判する理由が記憶に新しい時代にも、人々はロシアの歌を歌って豊かな時を過ごした。それらは、絶妙のバランスで共存したように見える。

今回のウクライナ紛争においてもまた、日本人の対ロ感情は著しく悪化しています。歴史は繰り返すとするならば、政治論争よりも文化的な活動が一方的な感情を抑制する役割を果たすでしょう。そして、フォークソングの良いところは、誰でも参加できることだと思います。