11月15日の記事に掲載した、クラホボ南部集落群のアントノフカ(今週解放が確認されたイリンカの1つ手前)へのロシア軍による襲撃映像(一番下に再掲)。これに使われている楽曲は、「7Б」というグループの「英雄なんかじゃない」という曲。今やベテランのロックバンドです。

「Б」は英語の「B」です。そして「7Б」とは、精神病の人格障害を示す医療コード。ん?もしやこの流れは・・・

そうなんです。7Бは2001年に結成されたのですが、実はあの、t.A.T.u.(タトゥー)を手掛けたお騒がせ小児精神科医プロデューサー、イワン・シャポワロフのもう一つのプロジェクトでした。麻薬のように中毒性のあるサウンドが、何とも言えない幽体離脱感を与えます。

この「英雄なんかじゃない」は、2015年の作品。ですので、特別軍事作戦を意識して書かれたものではありません。従い、戦意高揚歌ではなく反戦歌の印象。死にゆく自分を、上から別の自分が見ている。「もっと生きたかった。俺は英雄なんかじゃなくていいんだ。クソったれ戦争め」- 個人的には、敢えてこの曲をあてた映像編集者のセンスに敬意を表したいです。異質なものがあることで、より様々な人間模様のリアルが浮かび上がる。そして、兵士たちの姿を上空からドローンで映す映像と詩の、何とも言えないコラボレーション。

(ぜひ他の楽曲もお楽しみください。旧ソ連音楽関係の記事はこちらをクリック。)



「英雄なんかじゃない」 7B

星は煙の中、地球は燃えている
戦争では一発の弾丸で死を迎える
笛の音が聴こえる 俺について来るよう呼んでいる
恐怖すぎて恐怖心がどっか行っちまった
それを持っていなかったのが残念だ
つまずいたわけじゃないが倒れちまった
この戦いで

動けないのさ
自分に何が起きたかわかっている
くちばしのある黒いのがそこにいるよ
最後の鼓動が俺を待ってる

ああ、クソったれ 戦争…
ああ、クソったれ 戦争…

命は震えと熱に変わり
血は熱く燃え上がる
俺の体が麻痺しているのが下に見える
魂に別れを告げている
死んでゆくとこだが、苦しむことはなかった
この戦争を俺は呪った
こんなに短い命は嫌だった
俺は英雄なんかじゃない

しかし動けない
生きていることはわかっている
くちばしのある黒いのがそこにいるよ
最後の鼓動が俺を待ってる

ああ、クソったれ、戦争…
ああ、クソったれ、戦争…


Не герой 7Б

Звёзды в дыму, земля в огне,
Смерть в каждой пуле на войне,
Слышно свистит- она меня зовёт за собой.
Страх испугался, убежал,
Зря я его с собой не взял,
Я не споткнулся, но упал
В этом бою.

Но не могу пошевельнуться-
И понимаю, что со мной.
Чёрный с клювом тут как тут-
На мне ждет последний стук.

Эх, твою мать, война...
Эх, твою мать, война...

Жизнь превращалась в дрожь и зной,
Кровь обжигала теплотой,
Тело немело подо мной,
Прощаясь с душой.
Я умирал, но не страдал,
Эту войну я проклинал,
Я не хотел так мало жить-
Я не герой.

Но не могу пошевельнуться-
И понимаю, что живой.
Чёрный с клювом тут как тут-
На мне ждет последний стук.

Эх, твою мать, война...
Эх, твою мать, война...