将棋ブームですが、供給側が間に合っていないし上手くやれていないというお話。

首都圏の面識のない日本将棋連盟の指導員の方から突然ご連絡をいただきまして、「活動はどんなですか?」と。互いの活動についてしばし情報交換をしたのですが、話を伺っているとどうやら「やってられんわ」的な雰囲気が漂う。頻繁に派遣先に行く忙しい日々のようで、知っている指導員たちはけっこう辞めていったと。他の人はどうなんだろうと様子を知りたかったのでしょう。私は自分の教室だけやるスタイルなので別系統なのですが。

指導員たちはボランティアでやっていて、無銭です。派遣先によっては幾らか出る場合もあるのかもしれませんが、お小遣い程度をちょこちょこもらっても仕方ないんですよね。お金が絡むと微妙な問題が出てくるリスクとか会計の手間とか考えると、一切いただかないほうが楽。でなければ、生活できるくらい事業として成り立つか。前者だと普通は疲弊して長くは続かないし、後者はプロかプロに準ずる方でもないと難しい。
私は、無銭で続けながらこうして問題提起を行っております(笑)。指導員のみなさん、苦労しながら価値のあることをやっているんですよ。その価値を、世の中に認めさせないといけない。

さて、当ブログで何度も取り上げていますが、マージャン業界は進んでいるように見えます。認知症予防に効果が認められている点を最大限にアピールし、「賭けない・飲まない・吸わない」の健康マージャンを自治体がバックアップするような形が出来てきています。初心者向け教室も多数あるみたい。
将棋はご高齢の方がやってみたいと思った所で何処へ行けば教えてくれるかって、難しいですよね。また続けるにも、同じくらいの年齢の初心者が集まっている場所がない。

問題点を露わにするために敢えて悪役をかって出ますと、たぶん自治体が「将棋で脳の健康を維持しましょう」みたいな政策を実施する場合、スポットで将棋講座をやると思うんですよ。で、あとはきっと「市内にはこのようなサークルがあります」と公民館サークル等にブン投げてくる。
将棋界でも度々失敗しているのですが、自分たちが楽しむ目的でやっている人たちに他のことをお願いするって、無理なんです。例えばご高齢の方の将棋の集まりで子供の相手をしてもらおうと思っても、嫌がられる。
特にご高齢者の認知症予防という目的ですと、「対面・対人」で「思考させる」というのを意識して面倒を見てあげないといけないので、これはもぅ趣味で自分の楽しみとしてやれる域を超えるんです。

従って、講座をやったならその近くで、その後継続的にお相手をしてあげる施策が必要。そのコストは、自治体が持つべき。「高齢者の習い事の費用を自治体が持つのか?」というのは突拍子ないかもしれませんが、実際に医療費も介護費用も負担している。同様であるべきです。医療・介護費の削減効果もある。

「対面・対人」で「思考する」スタイルといえば、将棋やマージャンのほかにも囲碁やカードゲームもある。音楽でも、先生と向かい合って音符を見て楽器を弾くのを習うスタイルなら同じ効果が見込めるかもしれない。

このように「お年寄りが生きがいを持って暮らせる社会」を実現してゆく過程で、文科系の技術者の仕事が出来てこなければならないと考えます。ではその流れをつくるには、どうすればよいか?

選挙です。役所は現状維持ですから、変えてくれる政治家を選ぶしかありません。