高校時代、受験勉強の最中、世界史で誰がどんな本を書いたと丸暗記するのにウンザリし「どれかひとつでも読みたいものだ」と思いました。そこで本屋で手に取ったのが11世紀ペルシャの詩人オマル・ハイヤームという人の「ルバイヤート」という詩集。理由は、薄かったから(笑)。すぐに読めそうだったし、四行詩なので疲れない。

祈り


当時いいなぁと思ったのは、この作品。

【バグダードでも、バルクでも、命はつきる
 酒が甘かろうと、苦かろうと、盃は満ちる
 たのしむがいい、おれと君と立ち去ってからも
 月は無限に朔望さくぼう をかけめぐる!】

オマル・ハイヤームという人は数学・天文学においてとんでもない天才だったらしく、その研究は現代にまで通じているそうです。しかし詩作においては、それが何だと言わんばかりの無常観が漂う。
上の詩も殺伐とした心境を詠ったものですが、高校生の自分には雄大な情景が何かカッコ良さ気に映ったのかもしれない。

最近また読んでみて、ジワリときたのはこの詩でした。

【われは酒屋に一人の翁を見た
 先客の噂をたずねたら彼は言った
 酒をのめ、みんな行ったきりで
 一人として帰っては来なかった】