これもネット上で話題になっていますので、私も事実に基づく論評の範囲で記事を書きます。政党支部の事務所を自宅や親族が所有する建物に置くときの「事務所費」の扱いについて。

政党支部はほとんど政党本部から支給される資金で運営されていますから、その出所は国からの政党交付金、つまり税金です。事務所を自宅にして、事務所費(家賃)を自分でもらっていいの?という話。

結論から先に言いますと、実態として事務所使用しているのであれば違法ではなさそうです。もらって悪くはない。ただそれをどう見るかは有権者の判断。
以下、見てゆきます。

様々なケースがあります。まるっきり自宅の一部を使う場合、家族(奥さん等)が所有している物件に入る場合、あるいは仲のいい会社が一部を使わせてくれるような場合など。

自宅を事務所としていて他党から指摘されたものして、2010年の蓮舫さんのケースがあります。蓮舫さんは「事務所費を計上しているが同額を寄付する形で無償提供している」と回答されています。彼女の懐には入っていない。無償提供の際の書類の書き方のルールで、支出欄では自分に家賃が払われたように書くが、収入欄で同額を寄付したことにして相殺する。

一部を寄付にする形態もあり。その場所でその広さなら月々20万円くらいが相場のところ仲のいい会社が10万で貸してくれているような場合は、20万円を賃料に計上し10万円を寄付として扱う。そうすれば「不当利得を得ている」とならない。細かいですけどね。

丸川珠代議員も2008年に週刊誌に書かれました。新宿区の自宅を事務所として届け事務所費を計上していたと。このときの東京都選管のコメントが「自宅でも事務所機能を果たしていれば事務所費を計上して問題はない」というものでした。つまり、無償提供でなく賃料もらってもよい訳です。

しかし、これがまったく問題にならなくなったらモラルハザードが起きる。奥さんが購入したビルに事務所入れたり「これ資産形成じゃないの?」と首をかしげてしまうケースもある。マスコミや市民がチェックし、有権者の判断ということになるでしょう。

さて、話題に上っているのは、市川市長選に立候補した村越祐民さんです。政治資金収支報告書は一般公開されることになっていて、誰でもWEB上で閲覧できます。
千葉県選挙管理委員会のサイトがこちら
村越さんが代表を務めていた民主党千葉県第5総支部の報告書がこちら→ 平25年 平26年 平27年 

閲覧タイヘンでしょうから、問題のページだけ転載させていただきます(平26年より)。

民主5区26年事務所費


村越さんご自身が事務所の賃料を受け取られています。平成25年4月から27年6月まで、毎月107,400円。
尚、平成24年12月の衆議院議員選挙で村越さんは国会議員から野に下りました。その事実から推察すると、議員報酬がなくなったためやりくりが必要になったのかな?と見えます。

ただ、選管サイトで様々の政党支部の収支報告書を閲覧してみたのですが、代表がダイレクト自分に賃料を入れている支部は見あたらないです。事務所費を計上していない支部はちらほらあり、そのような所はたぶん自宅か親族の家か、賃料のかからない場所に置いているのでしょう。やはりもとは税金なので、誤解を招くことはしないのが普通なのではないか。

また、村越さんが現在のところ全国区の有名人でないからマスコミから材料にされませんが、目立つ存在になると使ってくる可能性はあると予測します。「再選挙までして市川市民が選んだ新市長からこんなものが出てきました」と言われたときに、市川市民としてはどうかですね。

支持するとすれば、「別に悪いことはしておらず、法的にも問題ない。南八幡の良い場所で、地方の民家とは事情が違う。居住するにせよ人に貸すにせよ、有効な使い方が他にもある中で政党支部を選択した。賃料を計上するのはむしろ自然だ」といった感じですかね。

村越さん支持者の方、お気を悪くされたら申し訳ございません。「ジャーナリズム不在」とよく言われますので、根も葉もない噂話はダメですが、事実あるいは事実の可能性高いと判断した事柄に基づき論評することは市民の議論を活性化させ市長選をより有意義なものにすると考えます。ご理解いただけましたらありがたく存じます。1度目の選挙、トップ得票おめでとうございます。次回もご健闘を祈り申し上げます。

(政党助成法 第四条2
政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならない。)