将棋ファンにとり「小池」と聞いて頭に浮かぶのは小池重明さん。賭け将棋で渡世する「真剣師」。プロを負かすほどの腕を持ち、破天荒な生き方と愛嬌のある性格で多くの人々から愛された人です。1992年に44歳で若くして亡くなりました。

「真剣師 小池」のイメージが思わず重なります。小池百合子知事と森喜朗組織委員会会長のバトルがすごいですね。こう言うと不謹慎ですが、エンターテインメント的にも面白いのでマスコミもこぞって取り上げています。何百億円する施設をいくつも見直すのですから、命を狙われるレベルですね。ゾクッとします。

小池vs森


3兆円を超えそうだ、それはタイヘンだと大騒ぎです。冷静に見るとしかし、その中で施設建設費用が膨らんでいる部分というのは新国立を含め2千億くらいでしょうか。あとは、運営費や輸送費、セキュリティー等のソフト面で1兆6千億とのこと。

この、「ソフト」関連の項目は、元々7千億としていた予算の中にはあまり入っていないように見える。「こういった費用もある」ということで新たに考慮されているもので、ロンドン五輪は2兆円かかったと聞くと東京でもそれに近いくらいかかるんだろうなとは感じます。

7千億円してたモノが3兆円に膨れ上がった訳ではなさそうなのですが、
「2チョウだ3チョウだって、豆腐じゃないんだから」
という小池知事の台詞のほうが大衆的に説得力を持ってしまっている。何てこった誰が悪いんだという話になると、またいかにも悪そうな人が居るんで(苦笑)。

「新国立に加えて、また施設建設で1千億円くらい膨らみそうだ」ということだと、確かに大きな金額ですから見直しの議論にはなるでしょうが、冷静にテーブルの上で調整する感じだと思う。それよりは、3兆とか言われて「ふざけるなっ!」とカッとなった圧倒的な世論をバックにつけていたほうが優勢に進めやすい。根本的にバッサリやれる。

盤上にバチ〜ッ!と打ち付けた駒がハッとするような手で、「これはスゴイ手が出たぞ」と場の空気を飲み込んでしまうことがあります。普通の人がそれをやっても通用しないのだけど、役者がやるとガラリと雰囲気が変わる。小池百合子さん、勝負師ですね。そして、素晴らしい女優さんです。

話は戻りますが、「真剣師 小池重明」(団鬼六さん著)は面白いです。将棋に縁のない方にもおすすめです。