「ヨーロッパに幽霊が出る――コミュニズムという幽霊である。ふるいヨーロッパのすべての強国は、この幽霊を退治しようとして神聖な同盟を結んでいる、法皇とツァー、メッテルニヒとギゾー、フランス急進派とドイツ官憲。」

マルクスの「コミュニスト宣言」から。時代は繰り返すんだなと、しみじみ感じる。
あ、私は共産主義者ではありませんので。念のため。

「反対党にして、政府党からコミュニストだと罵られなかったものがどこにあるか、反対党にして、自分より進歩的な反対派に対して、自分より進歩的な反対派に対して、コミュニストの烙印をおしつけて悪口を投げかえさなかったものがどこにあるか?」

「コミュニズム」「コミュニスト」を、「自国ファースト主義」や「ナチズム」などに置き換えて、「ふるいヨーロッパのすべての強国」を「EU」に置き換えてみる。苦笑してしまう。

なんでもいいんですよ。「コミュニスト宣言」の「コミュニズム」なんて、しっかりした経済学なんかじゃまるでなかった。王政が倒れ、資本家の時代になり、その体制に不満を持っていた労働者やブルジョア知識人層たちのモヤモヤをこの一言に集約した。マルクス青年は経済学者などではなく、流行作家あるいはコピーラーター。行く先々の新聞社や出版社が当局からツブされて、とにかく売れるものを書かなきゃいけなかった。

ひとつ違うのは、当時は「封建主義」や「資本主義」が倒れた先の社会制度というのは人類がまだ見ぬものだった。「自国ファースト主義」や「ナチズム」は、欧州がすでに経てきたもの。ゾンビ。
むしろ「EU」そのものが巨大な幽霊なんじゃなかろうか。

ゾンビvs幽霊。映画ならいいけど、現実にそれが起きてるとすると、ウンザリする。


ドイツ銀行危機のニュースが連日流れている。仕手筋がどっちかに賭けては都合のいい情報を流している図が見える。
個人的には、外的環境が穏やかでありさえすれば、ドイツ銀はもつと思う。増資は必要になるかもしれないが。米司法省から言い渡された140億ドル和解金問題も、まぁツブさずに決着させるでしょう。

しかし、他の大手がツブれたりしてシステミック・リスクの大波がくるとどうかワカラナイ。例えば先日も書いたイタリアのモンテ・パスキ。株価も悲惨な状況で、総資産が円換算で600億円くらいしかない。10月6日から空売り解禁。ファンド勢があうんの呼吸で売りを浴びせたらもぅ、支えきれる気がしない。

おっと、私はゾンビや幽霊ならぬ、「オオカミ少年」ですかね(笑)。いいですよ。オオカミ少年ですめば、ね。

株なんかを持ってて、年末の配当で孫に何か買ってあげよう、お年玉をあげようと、楽しみにしているおじいちゃんおばあちゃんたち、たくさんいらっしゃることでしょう。
平穏なクリスマスとお正月を迎えられることを祈ります。