昨日NHK将棋講座の将棋フォーカスのコーナーで高校選手権の特集をしていました。宮崎大宮は3人とも一年生なんですね。これからも楽しみです。

この夏に宮崎に帰省した際、母親が
「将棋が考える力をつけるんにいいっちゅうこって、学校でん取り入れはじめちょっとよね」
と話をしていました。
「あんたイイことやっちょんね」
と言うので、苦笑してしまいました。

子供の頃は私が将棋をやっていると、盤を両手でひっつかんでバシャッ!とひっくり返されたりしたものですが。いらんこつにうつつを抜かすなと。おっかなかった。
教育機関からお墨付きがつくと、見方も変わるものです。

都会に住んでいると実感できないかもしれないのですが、田舎では、「教育」って貧しさから逃れる唯一の希望なんですよね。親たちにとって。
普通の民間企業に勤めても生活の安定は望めないので、親たちが子供にならせたい人気の職業は、医師・公務員・教員。医者は難しいので、「公務員か学校の先生になってくれんか」というのが多くの親たちの願い。

ピアノ教室に少ない生活費を削って通わせるのも、教職の試験あるいはその後に必要になるかもしれないから。
将棋は経済的にリターンがない。そげんこつ、せんでいい。悲しいことですが、今は親の気持ちもわかりますので当時のことを根に持ったりはしていません。

宮崎では大宮高校の3人が大いに流れをつくってくれるかもしれませんね。宮崎だけでなく、これからの子たちにはいい時代がくるかもしれません。教育機関が注目すれば、教職を目指す子供たちが熱心に将棋をやってくれるようになるでしょう。将棋が好きな先生が増えてきたら、学生将棋が盛り上がる。一般メディアでの報道が多くなれば、私立の学校はより注目する。そうなるとまた、将棋ができる教員の価値が高くなる。

ここでも、よりいい流れをつくっていくための主役が女性になるかもしれません。
冒頭の将棋フォーカスでもつるのさんと広瀬先生が話しをされていましたが、棋士になる方々は小中学生で奨励会に入ってしまいますので、中学以降の学生大会と縁が薄いんですよね。学生将棋とプロ制度は分断されている。一方女流の場合は、学生将棋での活躍が女流棋士への登竜門として年齢的にも成立しますので、夢があって応援するほうも張り合いがあります。

女性の場合は逆のパターンもありかもしれませんね。つまり、女流棋士を目指す子が教員免許も持っておくという。現役引退後は私立の学校で教員兼将棋部の顧問として需要がたくさんあるという時代がくるといいのかなと思います。そうなれば私のような立場の人間も、「女流棋士になりたい」という子を安心して後押ししてあげられる。