小学生時代、ソフトボール少年でした。私が育った宮崎は、野球ではなく小学生はもっぱらソフトボール。今はどうなのかな?

優勝を争う、市内の名門チームでした。名物監督が居まして、子供がそのまま大人になったような人。メチャメチャ冗談好きで面白くて、怒るとスゴク恐くて。超負けず嫌い。

市内大会の決勝戦。その年の最も手ごわいライバルチームに、おっそろしく球の速いピッチャーが居ました。指先から球が放たれた瞬間、キャッチャーミットが鳴っているような。我々のチームはなすすべなく、気おくれして守備も乱れ、初回に既に大差がついてしまいました。そこへ、恵みの土砂降りの雨。その試合は、ノーゲーム(中止)となりました。1週間後に、再試合。

次の日からの監督の練習法が、スゴかった。いや、あれは練習なんてもんじゃない。

監督自身が、キャッチャーマスク被ってプロテクターをつけて、すぐ目の前、バット振ったら当たるんじゃないかというくらいの至近距離から、アンダースローで思いっきり投げ込んでくる球を、選手たちは延々打たされた。なかなか当たらないんだけど、当たったら監督もボコボコになる。監督のスゴい形相。恐いのなんの・・・

技術的には恐らく、ナンセンスだったのだろうと思います。それで短期間に動体視力が養われて・・・なんてことは、ない。でも、マインド面の成長が大きかった。
「あれだけやったんだ。打てる」
結果は、優勝を勝ち取りました。

大人になった今でも、時々思い出します。勝つっていうのはこういうことだというのを、初めて鮮烈に体験した事件でした。それは、ムチャでクレイジーで常識外れなこと。

監督のように、人間味あふれるような大人になれなかった自分が、残念ではあります。あれは、あのキャラだから出来たこと。今、将棋教室主催者として私に出来るのは、大会上位の子たちが毎日どれくらい詰将棋や棋譜並べをやっているか、どれだけ稽古してるかを子供たちに伝えることくらい。
「勝ちたければ、同じくらいやることだ。やらないなら、あきらめたのと同じこと。それだけ」
なんて、ちょっと冷たいのかもしれませんね。

それとも、やってほしいですか?
「オマエ今週、詰将棋を何題やってきた?どうした、勝ちたくはないのか?!」
とか(笑)。いやいや、やりません。安心してください。

年明けて2月5日(日)は、小学生名人戦の千葉県大会です。恐らく勝とうとしている子たちは、年末年始関係ないはずです。どっぷり将棋でしょう。特に代表戦の子たちは熾烈。プロ棋士を目指せるかどうかというひとつの目安が、小学生名人戦や倉敷王将戦で県代表になれるかどうか。小学4年とか5年で、人生を賭けて食うか食われるかをやっている。本人が意識しているかどうかはわからないですが、そういうことになっている。

と、思ったらみなさん、思わず詰め将棋の本に手が伸びたり、しません? しないか(笑)。

行徳将棋クラブは、まぁこんな風ですので。クリスマス、年末、お正月、家族や親せきと、よい時間を過ごしてください。そして頭の隅で、チラッとでよいので、
「今ごろ、やるヤツは、やってんだろうなぁ」
と、思ってください。それでじゅうぶん。でも、それが大事なこと。

それぞれの人生の中で、将棋ではなく別のことで、勝負しなければならない局面が訪れることでしょう。受験や、資格試験や、仕事のことや・・・
「自分の人生は、ここだなぁ」という時がくる。

その時はみなさん、誰よりも努力して、何が何でも勝ってくださいね。