ワグネル入隊希望


3月4日の「国防省とプリゴジン ワグネル入隊希望者を巡り睨み合い」という記事のスピンアウト。この中で出て来る「戦闘調整」という軍事用語に我が意を得たりと感じていまして、書こうとずっと思っていたのですが、暇がなく1か月以上が経過してしまいました。

「戦闘調整が済んでいる」とは、部隊のメンバーが相互に互いの性格や考え方を理解し、戦闘時の行動に関するサインや略語も設定され、誰がどう声を発したら、あるいはどういう仕草をしたら、他者はどう動くのか、全員が瞬時に反応できるところまで仕上がった状態のこと(と私は理解しました)。つまり、チームワークが完成された状態。

戦闘もスポーツと同じで、スタープレーヤーを集めたチームがイキナリ強いかといえばそうではなく、まとまったチームになっていることが重要です。今回のWBCで日本代表は全勝で優勝しましたが、その日本代表が唯一負けたのが、壮行試合での中日ドラゴンズでした。もちろん「あれは調整、勝ちにいってない」という指摘はあるでしょうが、象徴的な例ではあります。

下に埋め込む動画は、ドネツク市に隣接するウクライナ軍の要塞都市アヴジェエフカ付近に陣取っているドネツク人民民兵部の「ベテラン旅団」で、2月の終わりごろの様子です。すみません、翻訳しませんが、映像を見ていただけたら雰囲気は解ります。前半の若い兵士はアヴジェエフカで敵がいかに要塞をつくり固めているかを説明しており、後半では報道記者から兵士に転身したジャーナリストがその経緯を語っています。

一口に「ロシア軍」と言っても様々なユニットから構成されています。正規軍だけでなく、2014年から8年間、ドネツクやルガンスク人民民兵部の下でウクライナ軍や武装勢力と戦ってきたパルチザン部隊があります。そして今も現場では、彼らの働きが大きい。何と言っても「戦闘調整」が済んでいて安定感があるので、配置しやすい。

私見ですが、映像でご覧のとおり、なんとも言えない哀愁が漂います。個人的には「いいなぁ」と思う。2014年から8年間、世界から見放されながら、そこに居て、そこに住み、そこで戦い、そこを守ってきた連中。ジワ〜ッとひたすら耐えてパルチザン活動を継続してゆくシブとさは天下一品。それが彼らの個性。

いっぽう、ワグネルのような突破力はない。しかしだからといって、彼らに「遅いじゃないか!」と食ってかかる気持ちは、私には起きないです。

もう一段、大きなレベルでの戦闘調整も必要です。具体的には、今まで小さな小さな人民共和国で地味にパルチザンをやってきた連中が、ある日雲の上の人から「ロシア国防軍が戦闘爆撃機でこの辺りをドカーンとやるから、君たちは呼応してこの地点でこう動いてくれ」と突然言われても、現実味が持てないだろう。そりゃロシア国防軍メチャありがたいですが、100%信頼できるのかも、よくわからん。

という状況から始まり一年間を経て、ロシア国防相と人民民兵部隊の戦闘調整は、さてどうでしょうか。アヴジェエフカ戦線は、今月に入り着実に進展しているように見えます。



「私たちはアヴジェエフカ工業地帯に位置しています。私たちは侵入し、定着しました」

ボランティア旅団「ベテラン」の兵士として、アヴジェエフカを襲撃しています。

空挺攻撃旅団「ベテラン」の兵士は、ドネツク近くのアヴジェエフカ工業地帯の敷地に入りましたた。

「私たちはそこに行き、陣地を固め、陣地を維持しています」と、ベテラン旅団の最初の突撃中隊の指揮官であるラプターは言いました。

「状況は常に緊張しています。狙撃兵が働いており、鳥はサーマルイメージャーを持っています」と偵察部隊の副司令官は付け加えます。

彼のコールサインは「プレス」です。一年前、彼はカメラマンとして働いていましたが、戦うために辞めました。 しかも、2014年にもカメラマンの仕事から民兵の日常生活に転向したことがあり、これが2回目です。

「ベテラン」が一見難攻不落のアウジェエフカをどのように襲撃するかのレポートです。

出典:https://t.me/veteranODHBr/1258