日米共同声明はもちろんマスコミが全文を翻訳していますが、米中のがない。「これHara Blogがやらんといかんのか?他にたくさん色々やることあるんだけどな。どこか大きいとこがやってくれよぉ〜」などブツブツ言いながら、作業しました。下に掲載します。新華社と米国務省のリンクを貼りますが、同じ文章です。

書きながら「これ、産業政策そのものなんじゃないの?」と感じてしまった。「米中が気候問題について話し合いました〜」と言えば何かホワッとした印象ですが、米中共同の世界エネルギー戦略にほかならない。

共同声明が掲載されているのは国務省のHP。気候変動問題担当相のジョン・ケリーさんのツイッターのオフィシャルアカウントも国務省にリンクされている。つまり国務省に「気候」を建前とした「エネルギー産業国際関係調整部門」が新設された訳だ。で、ブリンケンさん担当の「安全保障」や「人権問題」とは切り離して、こちらのほうは大いに中国と協力していきましょうと。

たぶん今後、外交分野のトレンドを「気候」に持って行こうとしているんでしょうね。菅総理とバイデンの日米共同声明を見ても、この部分が強調されています。

「気候」を聖域として経済関係はドンドン進めちゃうので、安全保障や人権問題でいくらあーだこーだ言われても、中国としては実質的な損失は何もない。そんな風景が見えます。





【気候危機に対処する米中共同声明】

米国気候変動問題担当大統領ジョン・ケリー特使と中国気候変動問題担当特使謝鎮華は、2021年4月15日と16日に上海で会合し、気候危機の側面について話し合った。 議論の終わりに、2人の特使は次の共同声明を発表した。

1.米国と中国は、気候危機に取り組むために互いに、そして他の国々と協力することを約束している。気候危機は、それが要求する深刻さと緊急性をもって対処されなければならない。 これには、それぞれの行動を強化することと、国連気候変動枠組条約やパリ協定を含む多国間プロセスに協力することの両方が含まれる。 両国は、リーダーシップと協力を通じて、パリ協定の策定、採択、署名、発効への歴史的な貢献を想起する。

2.今後、米国と中国は、パリ協定の実施を強化するために、他の締結国と協力することを確約する。 双方は、世界の平均気温上昇を2℃未満に抑え、1.5℃に制限する努力を追求するという第2条に基づく協定の目的を想起する。その点で、双方は、以下を含むそのような努力を追求することを約束する。 パリ協定に記載されている通り、2020年代には上記の温度制限を到達範囲内に維持するために強化された気候について行動をとるとの志を高めること。そして、関連する取組みと機会を特定して対処するために協力すること。

3.両国は、4月22/23日に米国が主催する気候に関する首脳会談を待ち望む。 両国は、グラスゴーのCOP26への道のりで、緩和、適応、支援において世界的な気候についての志を高めるというサミットの目標を共有しています。

4.米国と中国は、気候危機への取り組みにさらに貢献するために、短期的に別々の行動を取る。

・a. 両国はグラスゴーでのCOP26までに、GHG排出量/カーボンニュートラルを正味ゼロのとするためにそれぞれ長期戦略を策定することを目指す。

・b. 両国は、開発途上国における炭素集約型の化石燃料ベースのエネルギーからグリーン、低炭素、再生可能エネルギーへの移行を支援するために、国際投資と資金を最大化するための適切な行動を取ることを目指す。

・c.両国はそれぞれ、モントリオール議定書のキガリ修正に反映されているハイドロフルオロカーボンの生産と消費の段階的廃止を実施する。

5.米国と中国は、COP26以降への道のりで、パリ協定に沿った温度制限を到達範囲内に維持することを目的とした排出量削減のための2020年代の具体的な行動について引き続き協議する。

・ a. 循環型経済、エネルギー貯蔵と送電網の信頼性、CCUS、グリーン水素などを通じた、産業と電力を脱炭素化するための政策、対策、技術。

・b. 再生可能エネルギーの導入の増加。

・c. 気候に強いグリーンな農業。

・d. エネルギー効率の高い建物。

・e. グリーンで低炭素の輸送。

・f. メタンおよびその他の非CO2温室効果ガスの排出に対処するための協力。

・g. 国際民間航空および海事活動からの排出に対処するための協力。 そして

・h. 石炭、石油、ガスからの排出量の削減を含む、その他の短期的な政策と措置。

6.双方は協力してグラスゴーでのCOP26の成功を促進し、パリ協定の実施の取り決めを完了し(例えば第6条および第13条に基づくもの)、緩和、適応、支援において世界的な気候変動問題への志を大幅に前進させることを目指す。 両国はさらに協力して、昆明における生物多様性条約のCOP15の成功を促進し、気候の鎮静化と適応への関与を含め、2020年以降のグローバル生物多様性フレームワークの重要性に留意する。



米中会談