新国防長官は、ロイド・オースティン氏。南部アラバマ州出身。1975年に陸軍士官学校を卒業後、イラク駐留米軍司令官などを経て、オバマ政権下の2013〜16年に中東やアフガニスタンを管轄する中央軍司令官を務め、同年退役。

議会承認ではハードルもあったようです。
「米連邦法では、文民統制の観点から元軍人は退役から7年間は国防長官に就任するのを禁止されているが、上下両院は21日、同法の適用を免除する関連法を可決し、特例として同氏の長官就任を認めた。」(産経新聞記事より)

ウィキペディアで経歴を確認すると、ブッシュ政権下でのイラク戦争を率いたとあります。

46歳で亡くなったジョー・バイデン氏の長男ボー・バイデン氏の陸軍時代の上司とのことで、バイデン氏としても安心感があるということでしょうか。



ニッポン放送からの下の記事に詳しく解説されています。慶應義塾大学教授で国際政治学者の神保謙先生の解説を一部引用します。

「基本的にオースティンさんは陸軍参謀として、対テロ作戦。そして2010年代のイラクからの撤退オペレーション。これで成果をあげています。軍人のなかでのリスペクトを勝ち取るということについては、誰も心配していません。しかし、国防長官という仕事は、軍の統制はもちろん、軍事作戦、軍事戦略を考える、さらに広く安全保障戦略のなかで軍をどう位置づけ、そして議会文民をどのような形で巻き込むかということも重要になります。そして、ペンタゴンという巨大な組織をまとめる行政能力が必要です。それはまた軍をまとめることとはまったく違う力学があるわけです。本当にオースティンさんにそれができるのかということに関しては、相当注意深く見なければいけません。そしていまは同盟の立て直しという時期です。トランプさんが混乱させたNATO、そして中国を中心とするアジアとの同盟関係をどう強化するかということにおいて、オースティン将軍の実績は未知数です。これから同盟管理は大変な時期になるとは思います。」




いっぽう国防総省の情報機関である国家安全保障局(NSA)人事。実際の国防政策としては、このあたりがキモなんでしょうね。ギリギリのタイミングでトランプ氏に忠実なマイケル・エリス氏が法務顧問として就任したようです。ペロシ下院議長が相当に神経質になっています。

下のCNN記事(日本語)より一部抜粋します。

「米国最大の情報機関であるNSAの法務顧問は公務に従事する役職であり、政治的な役割を負うものではない。このためエリス氏が就任すれば、バイデン政権がこれを解任するのは困難になる可能性がある。」



国防総省フェイスブックより)
新国防長官