ドワンゴ社が叡王戦の主催を今期までとすることが発表され、将棋界に衝撃が走っています。
思うところを述べますが、まずは何より、電王戦にはじまり将棋界へ多大なる恩恵を与えてくださいました株式会社ドワンゴ様に深く感謝申し上げます。



さて、思うところ。
ニコ動の強いところはどこか。特徴を出して集中と選択をしなければ生き残れない時代なのだろう。

Google(YouTube)はひたすら広告屋さん。コンテンツはユーザーが作る。面白い動画をつくり視聴者を集めてくれるクリエーターに広告料を還元する。

AbemaTVは、番組を制作するいわばテレビ局なんでしょうね。個人のYouTuberではここまではできないというクオリティの番組を制作し広告主から広告料を得る。

ニコ動は、優秀な動画クリエーターが「課金チャンネルを設置し、広告主からではなく視聴者から月額で代金をいただきたい」と考える場合に、提供できるシステムが優れているようです。そこへ集中特化すべき状況下にあるなら、叡王戦という大きなタイトル戦の主催業務は確かに重た過ぎる。というか、本業から浮いている。
叡王戦の魅力の陰りなどではなく、もっと根本的な経営戦略上の選択ではないかと見ます。

ニコ動が見直される時代が来るかもしれません。有力YouTuberの間では「Googleは不安」と考える人々もいるよう。規約に触れると判断されると突然チャンネル凍結とか収益化停止とかされてしまう。広告単価もすべてGoogleの裁量次第なので、安心できないと。「チャンネル登録者何万人とかいうよりも、お金を払ってでも見てくれる熱心な支持者を1000人持っていたほうがカタい」と考える向きもある。ドワンゴ社はそのようなクリエーターにアピールしてゆく戦略ではないだろうか。

将棋界からも「ニコ動で成功しているクリエーター」が出ると良いかもしれません。課金しても一定の視聴者が集められるとなると、やはり戦術解説でしょうか。様々な戦型について過去の歴史・変遷から最新のトレンドまで、わかりやすく解説されたクリップがシリーズごとに並んでおりプロやトップアマ棋戦の動向を反映し随時新しい動画がアップされていくようなチャンネルがあれば、少なくとも「指す将」にとっては魅力的。しかしそんなのが月額500円とかで出てきたら出版界が困るかも。棋書が売れなくなる。あと、将棋教室も。私なんて完全にいらなくなるな(笑)。