将棋教室を行う者が言うことではありませんが、ご参考になればと思います。

現在、将棋YouTubeのジャンルが大変に充実している状況です。様々な将棋YouTuberさんたちの開拓精神とご努力により、驚くほどためになる動画コンテンツが無料で豊富にあります。トークも魅力的で飽きずに見られますので、オンライン授業を受けているのと変わらない効果があるはずです。

従いまして、タブレットをひとつ子供に渡して「将棋サイトならいくら見てもよし」としていただけるなら、のめり込む子は勝手に強くなってゆくはずです。放置で大丈夫。低学年の子は漢字がネックになるかもしれませんので、検索のお手伝い程度を手伝ってあげていただけたら。例えば自分が使っている戦法が中飛車なら「中飛車」と入れたらズラッと出てくるはずですから、色々見ながら「このサイトがためになる」「この人のトークが面白い」と、好きな番組や芸人さんを探すのと同じ感覚で好みを見つけると思います。

危惧されるのは、YouTubeを見たりアプリで将棋をやる姿が「テレビ見たりゲームしたりしているのと変わらない」こと。しかし目的を「将棋の上達」の一点に絞るなら、それでいい。例えば役者や音楽家を目指したい若者が好きな映画や演奏のDVDを繰り返し見ているのと同じですから。あるいはリスニング学習による英語の勉強と同じ。

「ひとりではやらない。しかし何か有意義な事を定期的に一定時間やる習慣をつけさせたい」
という場合はそれこそが「習い事」の目的ですから、教室を探すのもよいと思います。

現在の将棋界は「強くなる」ではなく「習い事として将棋という選択肢を世の中に認めていただき広げられるか」が課題と見ています。例えばピアノ教室なら、音大に合格させるまで対応している教室から街のお教室まで様々あります。ほとんどの親御さんは音楽家にさせるためでなく、一般教養としての習い事で考えておられることでしょう。

将棋教室の課題として「お金をかけているのに勝てるようにならないじゃないか」という不満を親御さんに持たれてしまうということがあります。楽器なら「所々間違えるけどずいぶん上手くなったなぁ」というのが聴いてわかりますが、将棋は一度でも大きな間違いがあると負けになってしまう。そして親御さんは「勝ち」か「負け」の二択でしか判断できないという難しさがあります。

話を戻しますと「ほっとくと将棋ばかりやってる」ような子供さんなら、お金をかけなくとも上達できる時代になっています。