災害ボランティア活動を通じて感じたことを幾つかの視点で書いてゆきますが、まずはお金の話から。自身の専門が損害保険なので。セールスではありません。私は資格は持っていますが取り扱いしていません。
 
火災保険は住宅ローンが残っている場合はついているはずですし、ローンが終わっても代理店から勧められるなり自分から問い合わせて加入している人もあるでしょう。
火災保険には、火災だけでなく風水災・ひょう災・雪災が「基本保障」の中に含まれています。
 
水災は付いている契約とそうでないものがあり、また付いていても「床上浸水何cm以上になったら何%。それ以下は出ない」とか支払条件が難しい。
しかし今回のような「風災」は「火災」と同格の基本保証のため、昔からのスタンダードな設定であればたいてい対象となっています。注意点は「免責(自己負担額)」設定がどうなっているか。自動車の車両保険と同様、免責を数万円設定すると保険料が安くなるようになっています。例えば免責が3万円設定されていて屋根の修理費用が30万円とすると、保険会社から支払われるのが27万円、自己負担が3万円となります。
 
それに加え、修理費用x設定割合の「残存物片付け費用」が出ます。上記の例ですと、30%設定なら30万円x30%=9万円ががれきの撤去・運搬費用として支払われます。(金額大きい場合は一事故あたりの最大支払金額設定もあるので注意)
 
台風15号のケースでは、まず被害を受けた家屋に火災保険がついているかどうかの把握が重要。ですが、保険会社・代理店は個人情報・契約情報を自治体といえども外部には出せないはずなので、自治体としてやるべきことは聞き取り調査に加え、ざっくりと屋根修理の鳶職人さんの数を確保すること。市内に一定期間宿泊してもらって、保険がついている家屋からの修理依頼に対応してもらう。
 
いい職人さんの数はそんなに多くないでしょうから、もう既に現時点で、機転のきく市町村とそうでないところの差が出ていてもおかしくありません。
 
逆にボランティア団体としては、後に保険を使って屋根の修理やがれきの撤去が可能なお宅よりも、そうではないお宅を優先するというのが全体としては効率がいい。ご紹介しているつながりさんも、ちゃんと火災保険加入の有無まで含めた聞き取りのニーズ調査を行っています。
 
最期にやや話題がそれますが、ブルーシート詐欺の人たち大迷惑。「ご注意を!」と自治体から言われている状況では、ちゃんとした善意の聞き取り調査の人たちが疑われてしまいますよね。復興を遅らせる要因になります。