先の投稿を完結させます。番外編の記事を放り込んですみません。
鬼束ちひろさんの「蛍」。宮崎の風景がまさに描かれているように思える歌。

県民の所得のランキング等を検索していただけると、宮崎がワースト争いの常連であることがご覧になっていただけると思います。とにかく、貧しい県。
貧しいなりにどうにかなっているかというと、体感的にはどうにもなってません。人々はとにかく苦しい。で、まぁまぁ普通の暮らしを何とか手に入れたりすると、親戚たちがよってたかってきますので。「助けちくりぃ〜」って。これがいけない。金のトラブルって、家族や同じ血を分けた兄弟姉妹の仲を容赦なく引き裂いてゆきます。

金銭で骨肉の争いをしたりDVで死にまで追いやられたり。結果、もぅ会うことはないであろう自分の親の兄弟やその家族たち(おじさんやいとこたち)ですが。子供だった我々にはそれはよく見えなかった。代わりに、年に何度か皆で集まったときの楽しい風景が心に残っています。みな優しくていい人たちだった。あれほどに貧しくなければ、みなそのままでいられただろう。

そして、蛍。昔は今に増して、水辺はどこも綺麗でした。親戚一同、集まってご飯を食べて。表に出て散歩をすれば、満天の星空と、無数に飛び交う、蛍。
その後の境遇から大人たちがどうなってしまったかは別として、あの風景の中に居た人たちを誰一人、怨みはしません。永遠に美しい一瞬。

田舎にはありふれた物語。身を寄せ合い傷つけ合い生きている、どこにでもあった風景を描いたこの絵は、時空を超えた里帰りのような気持ちにさせてくれます。

『硝子越しでもかまわないと
 私は無力さを晒してゆく
 愛なんてわずかなものを
 頼りにしたあの夏を

 蛍 この星を舞い上がれ
 遠く近く照らして踊れ
 その一瞬が永遠だと
 貴方は教えてくれたひと 』