大学無償化の議論が政府で進められていて、方向性としては歓迎。

2020年度実施へ向けてとのことですが、内容を見るとまず国立大(年間授業料約53万円)の場合;
住民税非課税世帯(年収250万円以下が目安);全額支給
年収300万円未満;3分の2を支給
年収380万円未満;3分の1を支給
そして、私立大の場合は上記に一定額を上乗せするとなっています。

ただ、現在も「授業料免除」の制度があります。上記と引き換えにこれを廃止するなんてトリックを使わないだろうな?というのは、目を光らせる必要があります。

授業料免除は、兄弟2人の一般的4人家族なら、所得(収入から控除額を差し引いた金額)175万円以下の成績優秀者なら受けられます。所得が175万円ということは収入が400万円くらいですので、授業料免除を受けられていた学生が逆に負担増になる(3分の2は払わないといけなくなる)なんてことがあってはいけない。

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さてしかし、いずれにしても上記の収入の条件では恩恵を受けられる層は限られますね。
年収が夫婦合わせて700万円くらいが一般家庭の平均ではないかと思いますが、所得税住民税や社会保険など引くと500万円。そこから住居費や水道光熱費通信費、自動車に係る費用、民間保険料等々、差し引くと200万円くらいしか残らなくないですかね? あとは食費や生活に係る諸々で消えていく。余分なお金なんてない。

塾の費用が、受験の年には100万円くらい平気でかかる。そして私大なら文系で年間90万円、理系なら160万円。兄弟姉妹がいてそれが二人目三人目と襲ってくると、ローン地獄しか行き場がない。

私立連側は上記の政府案に対し「国公立と私立の授業料格差是正が先決」と反発しているそうです。がんばってほしい。国立も私立も負担が変わらないなら、家庭の考えは随分違ってきます。

あるいは、政府が出生率目標1.8を見直し少子化を肯定するなら、ハッキリそう言ってほしい。実際問題、現実的にはそうしてくれと言わんばかりになっている。
「国民のみなさん、とりわけ若いお父さんお母さんたち、お聞きください。日本の人口は戦後急速に5千万人以上増え1億2千万人を超えましたが、これから成熟社会へ向かいピークアウトせざるを得ません。ご夫婦で年間の収入が800万円に満たないご家庭のみなさまにおかれましては、もしわが子に学力が伴うのであれば大学まで行かせたいと思われるのでしたら、子供さんはお一人にとどめておかれたほうが経済的に無難です。国としては大学教育への支援はこれ以上は困難ですので」
例えばこんな風に国のリーダーがしっかり方針を示してくれないと困る。それならそれで、う〜んとは思うものの、話としてはわかる。

知人に一流私大に合格して通っている子供さんがあるのですが、下の兄弟のために国立を受け直すそうです。理系だとそこまでになる。キツイ話だと思います。