最初に、祭り舞台のステージングについて、考えることを書きます。

まずは、そのステージがどんな位置づけにあるかですね。たくさんの露店の中にあるようなロケーションで人が目の前を歩いて流れている場合は、BGMとしても心地よいマイルドな音楽を淡々と演奏してくれるのが合う気がします。写真は先日の市川まつりに出演されていたジャズのO’d Bandさん。素晴らしかったです。

市川まつりジャズバンド


ジャズがよいのは押しつけがましくないところですね。ロックやポップスは「聴いてくれぇ〜」的な圧迫感を与えがちなので、聴くほうも辛くなってくる。ジャズは演奏者と聴き手が一緒にその空間を楽しむ感じになります。

いっぽう妙典祭りのように、ステージプログラムこそがメインで多くの人々がそれを見に集まっている場合。苦労して祭りをつくる主催者やスタッフからすると、小さい子供からお年寄りまで「楽しかったぁ」と言ってもらえるような出し物が嬉しい。となると「年齢関係なくみんなが知っている曲」になってくる。加えて、祭りを大切にしてくれている思いが感じられるかどうか。自己アピールばかりの出演者は敬遠されます。自分の時間を犠牲にして地元の人々のためにその場をつくってくれているスタッフたちから共感が得られるかどうか。あらゆる面で、押切稲荷神社祭礼の坂本冬休みさんは素晴らしかった。祭り開催のお祝いを度々語り、小さい子が目に入ると寄って行ってクレヨンしんちゃんのものまねなどもして。

なぜこのようなことを書くかといえば。

アーティスト側からすると、多くの人々を目の前にすれば自分の想いを伝えたくなる訳です。渾身のオリジナル曲とか、自身を音楽の道へ駆り立てたアーティストの曲のカバーとか。さらに言うと、広く浅くみなに「楽しかったぁ」と言ってもらうよりも、自分の世界を展開してコアのファンになってくれる人を1人でも2人でも獲得したほうがいい。第一、アーティストはどんな場所でも自分はこれだというのを出すべきで、状況に応じてそれを曲げるなんて堕落である。

この「祭り運営側の要望」と「アーティスト側のポリシー」が、結構かみあいません。苦労するところ。

実はサンデーサティーズの山口くん堀木くんはこの辺り経験豊富でよく理解してくれていて、私はとても助かっています。彼らはイベント出し物を仕事で受けてやることもある位なので、自分を抑えてエンターテインメントに徹した出し物も、やろうと思えばできる。

ただ、妙典祭りは仕事ではない。彼らも本来は本当に心からの曲も演って、強く共感してくれる人と出会いたいはずです。
少し前に3人でミーティングを行い「すまぬが今回はエンターテインメント性を強くで頼む」と私からお願いしました。先日の記事でも触れましたが市内のあらゆる祭りが十数回を重ね、マンネリ化しないための策を主催者の方々が模索し始めています。サンデーサティーズのエンタメのポテンシャルをここらで披露しておきたい。
いっぽう山口君や堀木君のファンたちからすると、彼らの歌が広まりもっと大きな舞台で活躍することを望んでいる訳ですから、原はサンデーサティーズをどうしてくれようとしているのかわからないという批判は出てくるでしょう。それは私が引き受けるしかない。

災難なのは今回ゲストで歌っていただく水野佳さん(何曲かスタジオ収録の動画をご紹介した)。最初は「一曲歌ってください」だったのですが、今やエンタメコーナーのご協力もお願いさせていただいており、まるでドリフの番組に出させられた女性歌手みたいな状況。

こういった舞台裏は見せるものではないのですが。若いアーティストさんたちが、このような事情の中でがんばって、何が楽しいかを考え出し物をつくってくれていますというのを、知ってくれている人が少しだけ居るとありがたいなと思い書きました。

祭り当日は、ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。