先日の「上乗せ条例」に関する記事について、ふと気になることが。
東京五輪へ向け首都圏の自治体が整備を進めている「受動喫煙防止条例」ですが、これはどうなんだろうか?

再度整理しますと、
法律の趣旨が「全国一律に均一的内容で規制すること」である場合(最大限規制立法)には、条例で法律よりも厳しい規制を行うことは許されない。
逆に「その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるとき」は上乗せ条例が認められる。

なんか、怪しいですね。喫煙による健康被害に地域性があるだろうか。
調べてみたところ、今年2月に東京都の国立がん研究センターで行われたシンポジウムの記録があり、以下のような発表が掲載されていました:

『メーンシンポジウムでは、現在検討中の東京都条例検討委員会の経過について、受動喫煙問題を専門にしている岡本光樹弁護士から2015年2月12日時点の座長案は「受動喫煙が有害であることは、疫学的には一応確立された知見といえる。従って、必要かつ合理的な範囲で、政府が受動喫煙について何らかの規制を行うことは正当化される。しかし、受動喫煙の害は普遍的なものであり、地域的な特性をもつとは考えにくいので、上記の規制は中央政府が行うことが望ましい。十分な対策が立てられない間は、地方自体が暫定的・過渡的に規制を行うことも正当化される可能性があるが、罰則付きの条例を制定するには、条例制定権の限界(憲法94条、地方自治法14条1項)の関係で、困難が多いと考えられる」であることが紹介されました。』(こちらサイトより引用)

先日別の記事で神奈川県の例を紹介しましたが、年間1000件ほどの違反が確認されているが罰則を適用した例がありません。よく考えると、罰則適用なんてことして小規模飲食店に集団で訴訟起こされると負けてしまう可能性が高いんですね。東京五輪を前に「自治体が設定する受動喫煙防止条例は効力がない」なんて結論が出てしまうのはマズい訳だ。

条例を制定する一方で運用面で何か工夫しないと、実行力が弱いかもしれません。