ソフト指し疑惑の件、ツイッター炎上を覚悟していましたがそうはならず、逆に拍手コメント欄から前向きご意見いただき、ありがとうございます。当ブログに書かれたようなことがまさに日本将棋連盟の説明によって理解できたらよかったとの感想に、状況を緩和する一定の効果があったかもしれないと安堵いたしました。メッセージありがとうございます。さらに少し、補足いたします。

「疑うに至った根拠は何だったのかの説明がほしかった」というご意見について。

より詳細なものということになると具体的には、「どの対局で、どのソフトと一致率が高いか。その対局の棋譜と、ソフトに指させた棋譜の比較データ」ということになるでしょう。何局かでそれが提出されているとして、もし開示すれば「その対局相手の棋士たちが調査依頼をしたんだな」と、そうでなかったとしても勘繰ったり決めつける輩が出てきます。

つまり、「根拠の開示」は「内部告発者の開示」と似たようなことになってしまう。

その棋士との過去の確執や因縁、こういう魂胆ではないかと番外戦についての憶測・創作など、あることないこと世間で語られるでしょう。当該棋士にとって不名誉なことですし、各棋戦のスポンサーさんにも迷惑です。

賭博や八百長の疑惑で「怪しい人、悪いことをしているのは誰か」という詮索ならまだ話は解りますが、本件は違います。そこは、「隠ぺい体質」とは区別して考えたいです。

次に、「三浦九段からの証言・発表がほしい」という点について。

「まったくの濡れ衣である」「別室で休んでいただけ」というのが報道機関の取材にに答えた、今のところの三浦九段の証言・発表。それ以上のことをするかどうか。

例えば会場を借りて記者会見を行ったとします。将棋を担当している文化部の記者は慎重としても、社会部や雑誌の記者は上に述べたようなことを三浦九段の口から吐かせようと質問攻めにするでしょう。当然、記事として面白い・売れる方向に誘導します。逆に「スマホは不使用」「休んでいただけ」以外の具体的な事実が何も出てこなければ、「何のための記者会見かわからなかった」と貶める方向に記事をつくるかもしれない。

また会見にせよ文書にせよ、公な発表を行えばそれが、連盟に対する明確な不満の表明、敵対姿勢ととられる。記者に対して自分の見解を述べたのよりは数段強い、戦うことの明確な意思表示となる。これで収めようとしていた連盟も、収めることができなくなるかもしれない。

将棋の場合は、双方の主張を伝えるべき報道機関の多くが棋戦スポンサーであるという事情も、問題を複雑にします。スポンサー側からすれば、将棋界のもめ事を伝えるというのは好ましくない。

「もし潔白ならば、正々堂々と裁判してはどうか」という疑問もあるようです。

100%真実のとおりに判決が下るのであれば、それがいいかもしれません。しかし、それはわからない。ソフトとの一致率を有力な証拠として、裁判所が認めてしまうかもしれません。名誉を回復し連盟や相手方の非を世に知らしめるために、そのリスクをとるかどうか。少し様子を見て、世の人々がさほど酷く罪人扱いをしているのでなければ、辛抱して年明け棋戦復帰を待つほうが得策ではないか。

将棋ファンの大多数が冷静で中立的であることが、本件の鎮静化を助けると期待します。
もちろんこれから絶対に起きないようにという点については、改善を求めたいものです。