欧米のように、クラブチームで地域スポーツや文化を支えたらどうかという方法論はあります。ひとつの考え方として成立する。これこそ「民で出来ることは民で」のポリシーに沿う。

問題は、まったく民営にするとどれ程の月謝になってしまうかですね。親の所得によりやりたい競技が出来ないとなると、公平性の面からみてどうか。ただそれも、議論の対象となっていい。義務教育はあくまで教科についてだけであって、スポーツや文化面まで機会均等の面倒をみてあげなくていいという政策も成り立つ。

ただ、実は致命的な欠点もある。現在のところ、各競技とも学校の部活を前提として全国組織が出来上がっていて、その連盟なり協会に所属していないと大会に出られない。クラブチームではダメな大会がほとんどなんですよねぇ〜。

という訳で、「部活動の指導を外部指導員へ委託する」という選択肢が浮上します。

実は、2000年代の行徳地区はそれが進んだんですよね。
某中学校の先生からも「部活動は地域指導者のみなさまのおかげで成立しています」というお話を聞きました。
ところがある時、その中学校の校長が変わって地域指導員を認めない方針となり、天地がひっくり返るような大騒ぎになった。

理由は解らないです。推察するしかないのですが・・・

部活動の指導者って、生徒の精神育成にものスゴイ影響力を持ちます。担任の先生より大きな存在かもしれない。その人たちが組織上、学校の管理下にないというのは、自分の教育理念に基づいて学校の指導をまとめていこうという強い意志を持つ校長にとっては気分が悪いのかもしれない。また、月謝を集めて外部指導員にそれなりの謝礼を支払っている場合は、学校の中で商売をされているような違和感を持つかもしれない。

あるいは単純に、部活動は怪我や事故を起こしやすい。責任を負うのが学校であれば学校が管理するということもあるでしょう。
また、いじめ問題。部活の中でのいじめを学校で把握できていなかった場合の責任問題もある。

諸々考えていくと、マイナスが発生しないように学校を統治するのなら、どんなにコキ使っても労働基準法違反に問われない(とでも思われているような)便利な存在である教員に、しっかり管理させるのが無難。

外部指導員への委託の場合は、事故やいじめ問題などについて責任の所在がどうなるのかという点は、気になるところではあります。
全国にさきがけ、大阪市や東京都杉並区では一部民間への委託を導入しているようです。注目されます。

あまり議論されないのですが、重要なポイントがあります。
部活におけるいじめや暴力の把握とその対処について、学校の管理責任があるとされたいくつかの裁判がある。と、いうことは、部活動は学校教育の一環であることが法的にも認められている。
で、あるならば、です。部活動に費やしている時間について、先生たちに給与体系に基づいた額の時間外手当を給付すべき。外部指導員に依頼する場合も、同等の金額をお支払いすべきです。

では具体的に、市川市でそれをやったらどれくらいの費用がかかるか。
2013年のデータですが、中学校16校で170の運動部、21の吹奏楽・管弦楽・コーラスなど文化部があるとされています。加えて他の文科部もあるでしょうが、ざっと200としましょうか。それぞれにひとり、教員の顧問もしくは外部指導員を付けるとする。
前編で計算した方式だと、ほぼ毎日やっている部だと月25万円で年間300万円ですが、まぁ平均200万円としましょうか。200を掛けて、4億円。若干大目に見て、5億円ですね。

市川市の年間予算の規模は、歳入約1400億円。予算配分を調整すれば、5億円くらいゼッタイ融通できる。それで、大きな問題が解決できる。校舎の建て替えとか、老朽化や耐震性の問題でどうしてもという以外は、やらなくていい。

夢を、創設することも出来るかもしれません。娘が小中高とバスケ部だったのですが、とにかく何とか生活できればいいからバスケに関わっていたいという若者たちが結構いるようです。地域指導者というのは、いい口になるかもしれない。日本では部活動がクラブチームコーチという職業が育つのを阻害しているという見方もできます。

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