市川市議会がおかしいの記事に、拍手をありがとうございました。

「民で出来ることは民へ」の大方針があるようで、このコンセプトのもと、市の施設やグラウンドの使用料金が民間と格差が大きすぎるのはある程度是正されるべきという理屈になっているようです。
建物や土地こそが市の財産であって、人間すなわち市民は財産ではなく「お客さん」というポリシーになっていますね。市が建物やスペースを整備し、市民というお客さんから使用料や税金といった形でお代をいただく。

そのルーツはどこにあるのだろう?・・・と、調べてみました。
2013年11月の市川市長選に、かなりハッキリとその経過が認められます。

再選を目指す現市長の大久保博氏がアピールしたのは、「ガーデニング事業を中心とした美しい景観づくり」。JR武蔵野線の新駅設置と周辺の住宅地開発を訴えました。そして、行財政改革も。開発を進める一方で、切り詰めるところは切り詰めるということ。
自民、民主、維新、公明、生活、社民推薦。そのほか商工会議所など多くの地元団体からも支援されました。

一方、異を唱えて立候補したのが田中長義氏。大規模開発の中止を訴え「暮らし・福祉・教育優先の市政に変える」とアピールしました。そして、行財政改革により計画に上がった公民館使用料のアップに反対してくれているんですよ。
押したのは共産党のみ。

公民館使用料は、市長選の争点ですらありました。どうりで共産党以外の党が市議会で何も言わない訳です。
そんなことも知らず、ただただ、お恥ずかしい限りです。

有益な街づくりや必要なインフラ整備は、しっかりやってゆかなくてはいけない。例えば行徳の塩浜地区ですが、数年前に主に倉庫業の会社から大注目を集めたという不動産業界の事情もあり、企業誘致に成功しています。市川市としては神風が吹いた格好で、これは周辺を整備する理由があります。

一方、大久保市長が公約に掲げた「船橋法典駅と市川大野駅の間に新しい駅を設置してニュータウン建設を」というものですが、これはどうなんでしょう。下の地図のあたりですが・・・

南大野駅ニュータウン構想

無理でしょ。
このご時世に。
2010年に市川市がJRに要望を出しているのですが、JRとしてはここに駅をつくっても利用客が増えずメリットがないとして断っています。
市はあきらめておらず、利用客をつくるためのニュータウン構想へ向け民間業者に調査を依頼するための入札などを行っているのですが、やめましょう。そういったお金を生涯学習に向けたらいい。

開発により「若いお客さん」を呼び込もうとするビジネスモデルには、必ず限界がくる。もちろん全体的に建物が老朽化している地区の再開発は必要ですが、新たに巨額を投じ無から需要を喚起するタイプの開発はもういらない。年齢構造の代謝を進めるのは開発によってよりも、ここで育った人々がここに住み子供を産み育てたいと思ってくれることによって成し遂げるべき。

「やめられない、それを望む勢力によって選挙に勝たせてもらっている」・・・という市長さんや議員さんが存在するとすれば、それが市議会がおかしい理由。そうでないことを願います。

何だか共産党を持ち上げたようですが、すいません、意見します。2013年の市長選で塩浜地区の開発も反対だとしていますが、その前後はめずらしく市川の臨海地区不動産に注目が集まっていた時期で、この機をとらえるビジネスセンスがないのはイケマセン。やるべきときはガメツく商売人になるべき。
9月市議会で何度か議題に上がった外環道路の「道の駅」も推進していい、面白いと思います。

現在の市川市政は、行政サービス(企業)とお客さん(市民)という構図で企業経営の手法を取り入れ行われており、全般的にひとつのポリシーでまとまった、すぐれた運営がされていると感じます。称賛に価します。

しかしビジネスは、ひとつの場所で同じモデルで永遠に続けられるものではない。街をつくり、そこが老人の街になったらまた新しい街をつくる・・・ずっとそうしてやってゆくのか?考え直さなくてはいけない。