電王戦で話題の日曜日でしたが、千葉の将棋ファンにはこちらのほうが注目度高かったかもしれません。喜んだ人も多かったことでしょう。NHK杯は大石直嗣六段と千葉出身の石井健太郎四段の対局で、ものすごい終盤を制し石井四段の勝利。大熱戦でした。

放送時間ギリギリで感想戦の時間がなかったため、「終盤どうなってたの?」と気になりましたよね。ボーゼンとしてたらエンディングの音楽が流れてきて、あらぁ〜みたいな(笑)。

ソフトで調べたところ、最終的に勝敗を分けたのは158手目の下局面でした。後手石井四段が△8八金と放り込んだところ。
行徳将棋クラブのみなさんもぜひ考えてみて。この金を、角でとるか玉でとるか。読めなくても、感覚でいいので。アタるか、ハズレるか(笑)。

158手目


△7六桂が見えているので▲同玉とはとりにくいのですが実は玉が正解。▲同角は△8六桂からどう応じても詰みのようです。
本譜も▲同角だったのですが、以下△8六桂▲同歩△8七銀▲同玉に△5七飛がキメ手(下図)。後手勝ちとなりました。7七や6七に何を合駒しても△7六銀▲同玉△7五歩から詰みとなります。

164手目


では、いちばん上の図で▲同玉だったらどうなるか。
以下、△7六桂▲9八玉△8八金▲同角△同桂成▲同玉△6六角で、下図。
さてここで、7七に合駒をするんですが、先手が勝ちになる合駒はひとつだけ。他の駒はすべて負けになります。
何でしょう?

仮想166手目


では、進めてみましょう。普通は合駒はいちばん安い駒ですよね。桂を打ったとしましょう。ところが以下、△7九銀▲同玉△6八銀▲同玉△5八飛▲同玉△5七金で下図。4九、6九、いずれに逃げても詰みで、先手負け。

仮想174手目


だめじゃん・・・と、思いきや。ちょっと待って。さっき7七に打った合駒が桂馬じゃなくて・・・そう、飛車だったら、このとき▲5七同飛ととれるんです。で、詰まない。
というワケで、飛車が正解。3番目の図のときに▲7七飛で先手勝ちだったようです。△同角成も▲同桂で詰みはなし。

30秒でこれを読みきるか感覚的に手がいくかでないと勝てないというのは、何ともものスゴイ世界です。改めて呆然としました。