王将戦第5局は、郷田王将の対策にうなりました。羽生名人が四間穴熊を選択するとは意外に思えるのですが、あらゆる戦形に準備をしていることがわかりました。

四間穴熊の大家、広瀬八段の著書によると、相手が角道を止める銀冠のときは振り飛車は△4五歩△4四銀型で角のラインと銀のコンビネーションをつくる方針が案内されています。一方、角道を開けたまま銀冠穴熊に組んでくる相手なら、さばきあいになると銀冠穴熊の堅さが生きる展開になってしまうので、角道を開けずに7七に居る相手の角頭を狙ってゆく方針を立てるとあります。

先手、郷田王将の37手目▲6六歩。新手あるいはたいへん珍しい手ですが、角道を止める銀冠の穴熊というのは盲点ではないかと思いました。対銀冠なのか、対銀冠穴熊なのか、方針が立てにくくなります。

65王将戦第5局


実際、中継ブログによると対局後のインタビューで羽生名人も、
「△7二飛(36手目)に▲6六歩という対応で、こちらもどう指していいのかよくわからなかったです。ただまとめづらい将棋になってしまったかなと思います。」
と述べられています。

将棋世界や週刊将棋でのこの対局の解説を期待して待ちたいです。一般ファンのネット上の勝手な我侭として言わせていただければ、ぜひ広瀬章人八段がどう見たかという視点も知りたいです。