80年代の曲ではないのですが、80年代に活躍したアーティストたちにも大きな影響を与えたこの曲をとりあげたいと思いました。
1972年、ギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」で、アイルランドからのヒットです。
尚、英語のタイトルは『Alone Again (Naturally)』で、「あたりまえのこと」「いつものこと」という意味の(Naturally)がつけられています。

歌詞の言葉の意味をそのまま受けとって心に染みる歌です。長期にわたり世界中で愛される所以で、色あせません。
つらいことばかりで居場所がなく、理解してくれる人も次々と去ってしまう。悲しみから逃れるために、そして傷ついた心をわかってもらいたくて、高い建物に登って身を投げようと思う。

一方で、深読みかもしれませんが、アイルランドの置かれていた状況が背景にあるという説もあります。
教会で結婚式の日に花嫁に捨てられるという物語が、宗教闘争を示唆しているのではないかと。
確かに、個人的なことを綴っただけにしては、第3パラグラフの「世界の傷ついた人々をどうすべきだろう」というテーマは飛躍に過ぎるかもしれません。

英国国教会をプロテスタントと呼ぶかどうかは議論を呼ぶところですが(教義なのか制度なのかという)、ここではわかりやすくそうします。
アイルランドはカトリックですが、英国系(プロテスタント)の多い北部ではカトリックが抑圧され、公正を求めるカトリック系と現地警察およびプロテスタント系過激派との衝突が繰り返されました。事態を重く見た英国政府は1969年から英国軍を投入して治安維持を計ります。

当初英国軍は暮らしを安心させてくれる存在としてカトリック系住民からも歓迎されました。しかし1972年1月、市民の大規模デモに対して英国軍がこれを押さえにかかり、ついにはデモ隊の中に武装過激派が居ると見誤ったのか発砲にまで及んでしまい、十数名の命が奪われるという「血の日曜日事件」が発生します。被弾したのは非武装の一般市民でした。

まさに歌の中にあるように、本当に必要で居てほしいときに、その相手からズタズタにされるようなひどい仕打ちを市民は受けました。「アローン・アゲイン」が発表されたのは、この年です。

ギルバート・オサリバンがこういった社会背景を歌に描きこんだのかは、わかりません。しかしひとつ言えるとすれば、孤独になってしまった絶望や悲しみ知っている、その心を多くの人があたりまえ(naturally)に持つことで世の中は少し救われるのかもしれません。彼が込めた願いではなかったでしょうか。




Alone Again (Naturally)  (Gilbert O'Sullivan)

In a little while from now
If I'm not feeling any less sour
I promise myself to treat myself
And visit a nearby tower
And climbing to the top
Will throw myself off
In an effort to make it clear to whoever
What it's like when you're shattered
Left standing in the lurch at a church
Were people are saying, My God, that's tough
She stood him up
No point in us remaining
We may as well go home
As I did on my own
Alone again, naturally

もう少し経って
この痛みがおさまらなかったら
自分を癒そうと決めたんだ
近くの高い建物へ行って
屋上まで上り
この身を投げようと
誰にでもいいから見せ付けてやる
打ちひしがれるってのがどんなことかって
教会にとり残され
そこに居る人々が言う
「こりゃ深刻だ、彼女は彼を捨てたんだ
 我々がここに残ってても仕方ないね
 帰ったほうがよさそうだね」
前に僕自身も同じことをしたのだけど
またひとりになったよ いつものことさ

To think that only yesterday
I was cheerful, bright and gay
Looking forward to who wouldn't do
The role I was about to play
But as if to knock me down
Reality came around
And without so much as a mere touch
Cut me into little pieces
Leaving me to doubt
Talk about, God in His mercy
Oh, if he really does exist
Why did he desert me
In my hour of need
I truly am indeed
Alone again, naturally

ほんの昨日のことさ
僕は明るく陽気だった
彼女と結婚する人が僕のほかに現れるなんて
思ってもみなかった
でも僕を打ちのめすように
現実が訪れて
救うことができないくらいに
僕を粉々に切り裂いた
残された僕は何も信じられなくなった
こう言いながら
「もし神の慈悲があるなら、
 もし神が確かにいるのなら、
 なぜ僕を捨てるのでしょうか
 僕に必要なときに
 ほんとうに居てほしいときに」
またひとりになったよ いつものことさ

It seems to me that there are more hearts broken in the world
that can't be mended
Left unattended
What do we do
What do we do

世界にはもっと心を壊された人々が居るように見える
けっして癒すことができないくらいに
ひとりぼっちにされて
僕らはどうすればいい?
僕らはどうすればいい?

Alone again, naturally

またひとりになったよ いつものことさ

Looking back over the years
And whatever else that appears
I remember I cried when my father died
Never wishing to hide the tears
And at sixty-five years old
My mother, God rest her soul
Couldn't understand why the only man
She had ever loved had been taken
Leaving her to start
With a heart so badly broken
Despite encouragement from me
No words were ever spoken
And when she passed away
I cried and cried all day
Alone again, naturally
Alone again, naturally

この数年間を振り返ると
起こったことすべてを思い起こすと
父さんが死んで泣いたことを思い出す
涙を隠そうともしなかった
そして母さんが65歳のときに
神はその魂を休まされた
神が彼女の愛したただ一人の人を
なぜ召されたのかわからなかった
なぜ母さんをひとり残して
深い悲しみを抱える時を与えられたのか
僕のはげましもむなしく
彼女は無口になった
そして母さんが逝ったときに
僕は一日中泣き続けた
またひとりになったよ いつものことさ
またひとりになったよ いつものことさ