前回に引き続き、ビリー・ジョエル。今回は「グッドナイト・サイゴン」です。

ベトナム戦争を題材にした歌としては、ポピュラー音楽の世界において代表的な楽曲として位置づけられる作品です。

改めてビデオクリップをじっくり見て目に留まったのは、中盤の「戦闘の中では誰が正しいかなんて関係ないんだ」と叫ぶ場面でナパーム弾のアップが映し出される場面。色々と考えさせられます。

とても重要な作品なのですが、クライマックスの「We would go down together」と男たちが合唱するところの日本語への翻訳について、既存の理解でいいのかな? と危惧しています。

「一緒にに倒れる(死ぬ)」の意味で和訳されて、日本では広くそのように理解されていると思います。もちろんそれもあるでしょうが。
例えば、「go down this street」は「この道をあちらの方に行く」・・・つまり「ここから遠ざかる」という位置関係で使います。「go down the river」は「川を下る」です。

即ち、この歌の中で兵士たちは「一緒にここを離れよう」つまり「無事に役目を終えてみんなで生きて国へ帰ろう」と言っているのではないでしょうか。しかしながら「倒れてしまう」という、二重の意味が込められているのではないかというのが私の解釈です。そのように訳します。




Goodnight Saigon (Billy Joel)

We met as soul mates
On parris island
We left as inmates
From an asylum
And we were sharp
As sharp as knives
And we were so gung ho
To lay down our lives

収容所のようなパリス島の海兵隊新兵訓練所で
俺たちは魂の友として出会った
出所する囚人のようにそこを出た
俺たちはギラギラしていた
ナイフのように鋭かった
身を投げうつ狂気に溢れていた

We came in spastic
Like tameless horses
We left in plastic
As numbered corpses
And we learned fast
To travel light
Our arms were heavy
But our bellies were tight

俺たちは飼いならされない馬のように
震えながらやって来て
ビニール袋入りの
番号札つきの死体として去って行った
軽装で移動することを素早く学び
腕は重かったが
腹は満たされていた

We had no home front
We had no soft soap
They sent us Playboy
They gave us Bob Hope
We dug in deep
And shot on sight
And prayed to Jesus Christ
With all of our might

後方からの援護はなく
柔らかな石鹸もなかった
国は我々にプレイボーイ(雑誌)を送り
ボブ・ホープ(コメディアン)を慰問によこした
俺たちは塹壕を深く掘り
目に見えるものを撃った
そして神に必死の思いで祈った

We had no cameras
To shoot the landscape
We passed the hash pipe
And played our Doors tapes
And it was dark
So dark at night
And we held on to each other
Like brother to brother
We promised our mothers we’d write
And we would all go down together
We said we’d all go down together
Yes we would all go down together

風景を撮るカメラはなく
ハッシュパイプを回して吸いながら
ドアーズ(ロックバンド)のテープをかけた
そこは暗かった
夜は本当に暗かった
俺たちは兄弟がそうするように無事を確かめ合い
何かあったら互いの母さんに手紙を書くと約束した
そして一緒に帰ろうと誓った (俺たちは倒れてしまうんだ)
みんなで帰ろうぜと声を合わせた (みんな死んでしまうだろう)
そう俺たち一緒に帰るんだと (誰も助からないのだ)

Remember charlie
Remember baker
They left their childhood
On every acre
And who was wrong?
And who was right?
It didn’t matter in the thick of the fight

チャーリーのことを覚えている
ベーカーのことも思い出す
みな子供の時の自分は
故郷に置いて来ていた
誰が間違っていて
誰が正しいかなんて
激しい戦闘の中じゃそんなこと関係ないんだ

We held the day
In the palm
Of our hand
They ruled the night
And the night
Seemed to last as long as
Six weeks on parris island
We held the coastline
They held the highlands
And they were sharp
As sharp as knives
They heard the hum of our motors
They counted the rotors
And waited for us to arrive
And we would all go down together
We said we’d all go down together
Yes we would all go down together

俺たちは日中の戦闘を
手中に収めた
奴らは夜を支配した
そしてその夜は
まるでパリス島の訓練所での6週間分に感じられた
俺たちは海岸線に陣取った
奴らは高地で構えていた
奴らは鋭敏だった
ナイフのように鋭かった
奴らは俺たちのエンジン音を聴いていた
プロペラの数を数えていた
そして俺たちを待ち伏せしていたんだ
俺たちは一緒に帰ろうと誓い合っていた (最後の時が近づいていた)
みんなで帰ろうぜと声を合わせていた (共に死にゆくのだった)
そう俺たち一緒に帰るんだと (誰も助からないのだ)