宮崎人としてこれは観ないとと思っていた映画ですが、延び延びになっていた。ようやく観てきました。

主人公島田航一郎のモデルは柴田紘一郎医師。現在も地元(宮崎)でがんばっていらっしゃいますが、
「ボクは野垂れ死にするとです」
医者とはそういうものだというのが口癖だか持論だそうで、劇中ではその理念どおり・・・おっとネタバレいけませんね。

ひとつの歌によって人生が変わったという人はきっとたくさん居て、その歌も事情も人によりさまざまでしょう。
それにしてもしかし「風に立つライオン」は、日本の国際医療協力の分野で本当に多くの人々を実際の行動に駆り立ててしまった、奇跡の歌。

その歌の映像化を大沢たかおさんが熱望したことがきっかけとなり年月をかけ、さだまさしさんの小説ができ、今回の企画につながったとのこと。歌⇒本⇒映像という流れもスゴイ。

映画自体は、たぶん映画に目の肥えた人が見ると色々とあることでしょう。
小説「風に立つライオン」の東日本大震災の部分が、2時間では入らなかったですね。強引にちょっとだけ突っ込んだので少し浮いてしまったかな。今はまだ生々しくムリかもしれませんが、いつの日か続編で「石巻編」が制作されるとよいなと思います。実在した奇跡の避難所、明友館のストーリー。

それでも「ケニア編」だけでも映像化されたということ自体、意味のあることだと考えます。
心地よく感じたのは、長崎の五島の風景と人々。私の両親が五島出身なのでよく里帰りしました。映画のシーンは記憶の中の懐かしい風景のまま。診療所の患者さんたちは、地元の素人さんたちでしょうかね。

紀子さま佳子さまも公務でご覧になり、「映画の思いが若い人たちに伝わるとよいですね」というようなことを言われたとのこと。
「映画の思い」とはどのようなことを意味するのでしょうね。どちらの国のシーンにも赤ちゃんを抱いたお母さんの姿がある点に目を留めておられたとのことなので、「命のバトン」でしょうか。

個人的には、物語の本筋ではないのですが、南スーダンの石油利権と大国の関与・・・そのことを考えました。

しかし、長崎(五島)〜ケニア〜石巻とつなげてしまうスケール感は、さだまさしさんならでは。さらに小説でコイチロが「今度は福島に行きたい」と言っていますので、小説の続編も期待されるところです。次は、小学生で被災し医者を志しているあつおくんがライオンとして2030年くらいのケニアや福島に立つのでしょうか。その頃さださんは80歳くらいでしょうが、ますます円熟しすばらしい作品を生み出してくれることと期待しています。