現在進行している事件については触れられませんが、個人的には記憶に新しいのが15年ほど前のキルギス共和国での邦人人質事件。

当時は旧ソ連から独立して間もない中央アジア5カ国に政府援助案件がついて、商社やコンサルタント、国際援助機関がこの地域に足繁く通いはじめた頃でした。私もODA案件で隣国のトルクメニスタンやウズベキスタンをよく訪問していたので、キルギスでイスラム原理主義グループにJICA(現国際協力機構)の職員さんが拘束されたと聞いて驚いたものです。そういうことがあってもおかしくない覚悟はあったのですが、キルギスはいちばんのどかで安全というのが我々の認識だったので。

ただ、国単位でどこが安全とか、あまり関係ないんですよね。連中は、あの一帯の一部にイスラム原理主義国家を樹立しようとしていた。その範囲に入っちゃうと、捕まる。
現在のIS(イスラム国)のような構想は、もうその頃からあったのでしょう。

マズイことに、そのときに身代金300万ドル(約3億円)が日本政府から支払われたのではないかという話がある。当時政府の要職にあった鈴木宗男氏が認めています。政府・外務省はたしか、未だその事実を認めてはいないと記憶しています。

事実がどうかはわかりません。が、そんな話があれば過激な連中の間では「日本は払う」ってなりますよね。

現在進行している事件で、NHKのメールでの質問に対しIS広報担当者が「あなたがたの政府は身代金を払う」と当たり前のように返答しています。一般的な感覚ではスゴク違和感ありますよね。なに言ってんだって。実は、根拠がないわけじゃない。

あれが、きいてるかもしれないなぁ、と、あらためて心苦しい。どうするんだろう外務省。前例がどっちだったのかは、わからないのだけれど・・・