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「名人」川端康成何なんだ、これは。

たった420円ですごいものを手に入れた気がする。

ジャンルとしては「小説」なのでしょうが、年老いた本因坊秀哉名人の引退碁を描いた、観戦記のようなノンフィクション。



先日紹介した映画「呉清源 極みの棋譜」に若き日の川端康成が出てくるのですが、恥ずかしながら、同氏が囲碁の観戦記者をしていたことを知りませんでした。
「スゲー豪華だな。川端康成の観戦記って、どんなんだろ」
と興味が湧いたので、早速読んでみました。まずは一気読みの後で呆然としているところですが、何回も繰り返し味わいたいです。

この引退碁の1年後に秀哉名人は亡くなりますが、物語はその死に際の様子と死顔の描写から始まります。死を描いているのですが、そこに名人の壮絶な生が表現されていて、いきなりガツーンときます。

文体が美しい。しかも、密度が濃い。現代小説ですと「あ、この描写はナイスだな」というのが所々にあれば上等ですが、もぅ、どこをとっても表現力豊かで美しいです。
これぞ川端という季節感溢れる風景描写の情緒ある雰囲気と盤上の死闘のコントラストに、いっそう凄みを感じる。

黒いくつとかいう盤面の解説もふんだんにあり、囲碁がわかればもっと深く味わうことができるのでしょうが、そうでなくとも対局者の駆け引きや熱気が十分に伝わってきます。実際、対局が行われている期間は、囲碁がわからない人々からも熱狂的に支持された新聞企画であったそうです。

今であれば映像や音楽でショウアップして大衆に伝える勝負の世界。この時代は筆一本でやっていたワケですが、逆に筆一本のよさというか、深みというか広がりというか・・・ありますね。

まとまりがつかず、すいません(笑)。ちょっと、衝撃を受けました。考えさせられました。