羽田(9:05投稿)早朝、羽田空港へ車を走らせ妻と娘を宮崎行きの便に送った。

これで大晦日にもかかわらず将棋に集中できる。次から次へ「ここ、あそこ」と掃除やら補修やら指図されることもない。

9:00、電王戦リベンジマッチ「船江恒平五段 vs ツツカナ」のニコ動サイトが開場となった。いよいよもうすぐ対局開始である。


(11:30投稿)37手目まで、1か所前後したものの前局と同じ進行。38手目下図は、△5六銀とツツカナが手を変えてきたところ。船江五段は▲同金と応じた。ここから別の将棋となる。
鈴木大介八段の解説によると、△8六飛▲8七歩△7七歩成▲8六歩△7八とのところで、▲6二歩でどうか。
リベンジマッチ1


(11:56投稿)上図から鈴木八段の解説どおり△7八とまでは進行した。ここで船江五段は時間を使って考えている。このまま昼食休憩入りにするつもりかもしれない。相手の手番で1時間考えられたくはないだろう。

(12:08投稿)やはり下図局面で昼食休憩となった。先手の手番。
リベンジマッチ2


お弁当屋さん(12:55投稿)昼食を買いに近くのお弁当屋さんへ。


受験生の息子にはロースカツとじ弁当。私はのり弁当。



午前中の鈴木八段の解説で、ぜひGSCの皆さんにも勉強してほしい将棋の考え方がありましたので紹介します。下図を見てください(見やすいように先後逆にしてあります)。
リベンジマッチ参考図1


ここでは▲7七銀と上がるのが将来▲7九玉〜▲8八玉という玉のふところを広げる価値の高い手です。コンピューター風に数字にすると20ポイントくらいあるとのこと。対して後手は指すとすれば△6二銀とか△5四歩あるいは△4二玉といった手ですが、いずれも5ポイントくらいの価値。

つまり、上図で先手▲7七銀と後手の何かの手の交換は、ぜったいに先手が特になる。いきなり▲3五歩といってしまうのは、後手にとってはありがたい。
居飛車の子たちは、ぜひこの感覚を身につけましょう。▲3五歩、いっちゃいたくなりますよね(笑)。

自分にとり得な交換を入れてから、いく。

(13:05投稿)対局再開。船江五段は▲5七銀左を着手。

(13:26投稿)ローソンのCMが流れる。そうか、弁当はローソンで買ったほうがよかったか。

(14:35投稿)下図局面で船江五段長考。竹俣紅女流二級がゲストで登場し、控室での棋士たちの検討は「詰むや詰まざるやになり難しい」となっていることを伝える。塚田泰明九段も「先手優勢には違いないが、一発もらうとまだまだわからない」と。
リベンジマッチ3


(14:47投稿)上図から船江五段▲6二歩を着手。船江五段優勢に見えるが、ツツカナの評価値は615で後手(自分)を優勢としている。塚田九段によれば、歩切れになると評価が低くなるくせがあるという。

(15:07投稿)立会人の堀口弘治七段と観戦記者の大崎善生さんがゲストで登場。大崎さんは「聖の青春」や「赦す人」など人間くさいノンフィクションで有名。このコンピューターとの将棋をどう書くのか楽しみ。
▲6二歩に対しツツカナ△5六角成はビックリ。当然▲同銀。どう見ても後手は細いように見えるが、どうなのだろうか。ツツカナ△9九とと香車をとった。次は△2四香だろうか。
ツツカナの評価値がマイナス221と自分が不利になっている。さっきはかなりプラスにしていたので奇妙だが、塚田九段によれば「コンピューターは点で読むので、この局面をまた(新たに)読んでいる」とのこと。

(15:29投稿)下図局面で休憩。コメントに「ツツカナは△5五桂を読んでいる」というのがあった。△2四香との組み合わせで先手玉を挟み撃ちにするつもりだろうか。
リベンジマッチ4


(16:30投稿)下図で先手の手番。詰みがあり、船江五段の勝ちになっている。上級以上の子たちはがんばってみてください。
リベンジマチ5


(16:34投稿)ツツカナ投了。会場では大きな拍手。

(17:02投稿)ツツカナが、「歩切れ」側の形勢をかなり悪く評価するのが印象的だった。上記14:35投稿図の局面から▲6二歩で先手が歩切れになったところでツツカナが形勢よしと判断し、△5六角成という無理気味な手を選択した。「△5六角成のところで△9九とと香車を拾っていればかなり際どい変化もあった」と、記者に聞かれて船江五段が答えていた。


(17:40投稿)
船江五段の偉業は日本中で大いに称えられるだろう。恐ろしく怖い企画を引き受け、新婚にもかかわらず大きなプレッシャーを抱えながら準備し、負けた前局と同じ戦形を選択してリベンジに挑み、最後は綺麗な詰みに打ち取った。これが筋書きのないドラマなのだからスゴイ。コンテンツとしての将棋の魅力を最大限にアピールしてくれた効果は、将棋界にとり計り知れない恩恵。
一方、ツツカナ開発者の一丸貴則氏は淡々としている。ハイトーンハスキーボイスが特徴で、ちょっとユーモラスなことを言ってくれるところもあり、まるでこれがツツカナの声のように思えてくる。「今回はリベンジマッチということで、ソフトに手は加えなかった」とのこと。何とも潔い、と、思ってしまうが、そのほうが修正すべき点を見つけやすいからなのかもしれない。人間とはちがい、コンピューターは悔しがることもなくこのデータをもとにまた着々と進化してゆく、それだけのことだろう。
棋士たちの多くが、コンピューターとの対局を練習にとり入れているという。もしその数多くの棋譜データをコンピューター側にフィードバックすれば、進化のスピードは加速するのかもしれない。しかし、人間側としてはそれはカンベンしてもらいたいだろう。そう考えると、こうした機会のひとつひとつを大切にしてゆく一丸氏の姿勢にも、とても好感が持てた。