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NHKで、紅白出場歌手の「SONGS」の再放送を立て続けにやっていて、ずっと見てしまいます。まずい。コブクロ・・・いいですねー、小渕さん宮崎出身なので体育会的に応援しちゃいます(笑)。

泉谷しげるさん・・・その中でも私が語るとすれば、やはりこの方でしょう。

「春夏秋冬」・・・これは都会の四季。四季感の滅亡を歌った歌と泉谷さんは言います。
『季節のない街に生まれ 風のない丘に育ち 夢のない家を出て 愛のない人にあう』

季節の移ろいをも感じられなくするほどの高度経済成長の激しい時代を、泉谷さんは今、見つめ直そうとしています。

今年、「昭和の歌」というアルバムが発表されました。昭和の名曲を、女性アーティスト10人とのデュエットでカバーするというもの。番組では、大竹しのぶさんとの「黒の舟唄」(野坂昭如)、夏川りみさんとの「見上げてごらん夜の星を」(坂本九)が生演奏されました。

高度経済成長の明るく楽しいところばかりが強調されるが、とんでもないこともいっぱい起こっていた。気楽にいじれない・・・大竹しのぶさんとの対談で泉谷さんは、時代の「光と影」を強調しました。

『男と女の 間には 深くて暗い 川がある
誰も渡れぬ 川なれど  エンヤコラ 今夜も 舟を出す
Row and Row Row and Row 振り返るな Row Row 』(黒の舟唄)

大竹しのぶさんの歌唱が見事。歌唱というより、一遍の芝居。焦点の定まらない漂うような瞳で、どうにもならない男女の溝を表現します。4番の『たとえば女は 忘れ貝  真っ赤な潮(うしお)が 満ちるとき  なくしたものを 思い出す』のところで、表情が現れ意識が自分に帰ってくる。5番の『おまえと俺との 間には 深くて暗い 川がある それでもやっぱり 逢いたくて  エンヤコラ 今夜も 舟を出す』のところでは、あきらめとも悟りとも感じられるような意志が伝わります。さすが、大女優です。

泉谷さんが所々で唸るようにしか歌わないので「あれっ?」と思いましたが、番組が進むにつれ理解できました。

目黒にある母校の中学校の教室で、語るシーンがあります。ランダムにまとまりなく色んなことを並べているのですが、高度成長で明るくなろうとしていた時代にも常に、恵まれない労働環境や病気や死といった影の部分があったことを言いたそうでした。影に生きた人々が居たおかげで、今がある。感謝しないといけないと。

つまり、女性アーティストと共演することにより、「光と影」を表現したのでしょう。それも、女性が光で泉谷さんが影という単純な構図ではなく、十分に影の部分まで表現できるアーティストさんを起用し、その上で、影の中から回想シーンのようによみがえる人を泉谷さんが演じている。

夏川りみさんとの、「見上げてごらん夜の星を」・・・泉谷さんの解釈では、亡くなって星になった人々を弔う歌とのことです。
1番と間奏まで、ステージ上には夏川さんだけ。間奏の終わりのほうで、泉谷さんが登場します。
『見上げてごらん夜の星を ボクらのように名もない星が ささやかな幸せを祈ってる』

「オレを忘れないでくれよーっ」と言うのを、これまでの泉谷流とはまったく真逆の方法で表現した企画だったということでしょうか。65歳にして進化し続けるとは、アーティスト根性恐るべしです。