昨年、ある将棋イベント会場でのこと。
「おーい」
と呼ぶ声がしたのでそちらを向くと、子供たちを相手に多面指しをしている勝又清和六段が手を振って呼んでいる。行ってみると、行徳将棋クラブの子が六枚落ちを教わっていました。

「指導方針の確認をしておこう。この子、9筋攻めなんだけど、行徳ではこれやるの?」
と聞かれ、
「いえ、やりません。やるとすれば1筋で」
と、即答。
「わかった。(女の子のほうを向いて)あのね、今キミがやっているのは、こうこうこうなって、角をきる定跡なの。上手に角をわたすと、勝つの難しくなるのね。1筋からこんな風に攻めるほうがいいよ。あとは原先生にならってね」

ハレ? 突然ボールが飛んできた。
おっと、はい了解いたしました(笑)。勝又先生大人気ですので、短い時間に多くの子を指導されてタイヘンです。いつもありがとうございます。
実はこの子はその頃、千駄ヶ谷の連盟スクールにも行っていて、そこで六枚落ち定跡を教わったのでした。

と、いうワケですが、私がグダグダ書くよりも、渡辺竜王のブログを参考にしてください(笑)。こちら

ただ、9筋攻めよりは格段に勝ちやすいとはいえ、やはり居玉のままだと上部から押しつぶされる危険がありますので、端をやぶってからでかまわないので、攻め急がずにいったん自陣の金銀を二段目に上げて蟹囲いくらいにはしておいた方がよいと思います。


個人的には、やはり平手感覚で、居飛車の子なら矢倉から上記の攻めを絡めて手をつくってほしいです。下図は、昨日紹介した「駒落ち新定跡」(高橋道雄著・創元社)に掲載されている成功例。

六枚落ち矢倉



振り飛車の子であれば、「駒落ち新定跡」には高美濃での戦いを解説しているのですが、個人的には出来れば高美濃から銀冠までいってしまうのがいいのではと思います。イメージとしては下図のようなフォームで、地下鉄飛車で1筋からいくもよし、それを警戒して金や玉を1筋方面に移動してきたら中飛車にすればよし。
ですが、うのみにせずに、重要なのは「自分で考える」。フォームとしては、四間飛車・6五の位をとる・高美濃。6枚落ちから角落ちまで、全てこれ一本。あとは、そのときの上手の陣形を見て、考える。

6枚落ち振り飛車



将棋の強い人から、
「あのね、六枚落ちは、囲わなくていいの。攻める練習だから、端をやぶって勝っちゃおう」
なんて、悪魔のささやきをもらっちゃったりしたこと、ありませんか?(笑)
で、指すと負けてしまうという。
平手のフォームをくずさずにいきましょう。