3月27日(日)、東京都市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、日本将棋連盟の全国普及サミットが開催されました。

前半は米長邦雄会長のお話、後半は質疑応答で参加者の質問に対し米長会長もしくは事務局の方が回答するという形式でした。

以下、前半の米長会長のお話の要約です:


1.公益法人制度改革について
1)税金の控除
  ・公益法人になると、良いこととして、個人の年会費あるいは法人の寄付は所得税控除の対象になる。寄付金が集めやすい。
2)支部
  ・公益社団法人日本将棋連盟が、「支部の名称を使用することを許諾する」という形になる。
  ・支部の名称に「公益社団法人」をつけてはいけない。「日本将棋連盟○○支部」という形になる。
3)会員
  ・棋士の対局料は今まで通りでよいということになった。給料・社会保険はダメ。
  ・正会員(棋士)の年会費10万円。女流棋士は四段以上が正会員で現在9名。合計217人が現在の正会員の数。その他の女流棋士は準会員。支部会員は賛助会員。
  ・支部長クラスを正会員にという案もあったが、「全員」ということが求められるため、年会費10万円を全員が払わなければならなくなる。それで支部長は正会員にできなかった。
  ・今まで棋士に給料として払っていた分は普及に回す。棋士を割り振って全県に派遣する。プロ棋士が皆さんの所へおじゃまする機会は相当多くなるはず。
  ・契約金17億円は全て棋士のお金で、女流棋士のお金がない。そこで、駒桜をつくってその会費を女流棋士のものとし、女流棋士を派遣する場合はそこから出すようにした。


2.東北地方太平洋沖地震について
・心の復興が大事であり、将棋はその一助とならなければならない。そこで東西の小学生名人戦は実行するという決定を3月20日に下した。ところが、原発がどうもおかしい。安全策をとるということで、西日本は実行し、東日本は延期とした。
・色んな事を中止あるいは延期にした。4月9日の女流棋士会の親睦会、4月10日は職団戦。職団戦は100回目というきりのいい時で参加も400チームを上回り、AクラスとBクラスに女流棋士のチーム2チームを出すことにしてあった。
・プロの対局は実行する。アマチュアが参加するものは、不測の事態に備えて延期。
・4月にはいったら募金活動を始める。東西将棋会館や新宿将棋道場でのチャリティー大会のようなもの、あるいは義援金の呼びかけで棋士が街頭に立つ。プロ棋士に色紙を書いてもらっているので、それを売って義援金にするということもする。
・棋士・女流棋士で、3000万円の寄付を日本赤十字社を通じて行った。これは将棋だけに使ってくださいというわけではない。
・阪神淡路大震災の時に、兵庫の支部に、がんばれというメッセージの手紙とともに寄付をおこなった。これがとても励みになったので、今回、東北の将棋ファンのために同様のことを行う音頭をとってくれないかと、関西の3つの支部連から相談を受けている。日本将棋連盟で口座をつくり、将棋に使う基金ということで、将棋ファンに寄付を募る。公益社団法人なので、幾ら集まりどう使ったかということは、きっちり公表する。


3.普及全般
・文部科学大臣杯小中学生団体戦は、一番大切な大会。小学生名人戦のような大会は、レベルは上がっても数が増えない。30年たって、全国津々浦々全ての学校が参加するようになることを夢見ている。
・女の子の参加が10-15%になってきた。
・上海の将棋人口は50万人。小学生名人戦の全国大会に2名招待する。
・北京も盛ん。北京は優勝が女の子だった。10年もたたないうちに、女流のタイトル持っている人は皆中国の人になるかもしれない。よいことだと思うが、日本もがんばらなければならない。


4.ケーブルテレビ(囲碁・将棋チャンネル)
・日本将棋連盟は、囲碁・将棋チャンネルとともに歩んでいこうと考えている。
・アマ王将戦は毎日新聞がやってくれていたが、これからは囲碁・将棋チャンネルが主催してくれることになる。去年は5か所でやった。今年は20か所でやろうとしている。
・ジュニア王将戦をつくろうということも考えている。子供たちがテレビに移ったりして、盛んになるだろう。
・囲碁・将棋チャンネルは、女流王将戦を放映し、銀河戦をやっていて、アマ王将戦を主催し、ジュニア王将戦を設立しようとしている。


5.NIE運動
・NIE運動というのは、Newspaper in education・・・教育に新聞をというもの。学習指導要領が変わり、今年の4月から「新聞」という授業ができた。
・将棋界のNIE運動をやろうとしているので、指導者の皆さんにお願いしたい。新聞の将棋欄を見て、その日に掲載されている最終局面からの次の一手(翌日に掲載される最初の手)があたるかどうか。そういう風にして強くなっていってほしい。新聞を読もう・将棋欄に目を通そう・将棋欄を活用して将棋が強くなろう、そういうもののマニュアルをつくるので、皆さんに活用してほしい。